2016 Fiscal Year Research-status Report
インフルエンザウイルスHAを標的とした特殊環状ペプチドの発症阻害機序の解明
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15K15146
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
小原 道法 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, プロジェクトリーダー (10250218)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高病原性トリインフルエンザウイルス / 特殊環状ペプチド / 病態抑制機序 |
Outline of Annual Research Achievements |
ウイルス粒子表面に多数存在するヘマグルチニン(HA)を標的とした特殊環状ペプチド(inhibitor of HA: iHA)の開発を進め、高病原性トリインフルエンザウイルスH5N1および同じGroup1に属するH1N1、H2N2の増殖を阻害する特殊環状ペプチドiHA-100を取得している。H5N1の霊長類感染モデル(カニクイザル)を用いてiHA-100の治療効果を検討し、発症後の投与においても有意な治療効果を確認した。このiHA-100の治療効果に関与する機序の解析を行った。 iHA-100投与カニクイザルの肺では炎症性サイトカイン(IFN-γ, IL-6)およびケモカイン(MIP-1α, MCP-1)の量が有意に減少しており、iHA-100投与により炎症が抑制されていることが示唆された。加えて、IL-15についてもiHA-100投与群で顕著な減少がみられた。IL-15依存性CD8 T 細胞がインフルエンザウイルス感染における急性肺病態の病原性に関与するという報告(J.Virol. 84:5574-82, 2010) もあり、上述のIL-15の減少についてもiHA-100の病態抑制機序に関与している可能性がある。我々はさらに、iHA-100投与マウスの脾臓細胞において①IFN-γ陽性のCD4+T, CD8+T細胞が増加する②抗原提示細胞(樹状細胞、マクロファージ)のMHC classII, CD86発現が上昇するという知見を得ている。これらの事から、iHA-100投与により免疫担当細胞(マクロファージ、樹状細胞、CD4陽性T細胞、CD8陽性T細胞など)に対して影響をおよぼしている可能性も考えられる。今後は、iHA-100の病態抑制機序について、免疫学的な解析を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H5N1の霊長類感染モデル(カニクイザル)を用いてiHA-100の治療効果を検討し、発症後の投与においても有意な治療効果を確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
iHA-100投与により免疫担当細胞(マクロファージ、樹状細胞、CD4陽性T細胞、CD8陽性T細胞など)に対して影響をおよぼしている可能性も考えられる。今後は、iHA-100の病態抑制機序について、免疫学的な解析を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
iHA-100の治療効果に関与する機序の解析を行った。iHA-100投与カニクイザルの肺では炎症性サイトカインの顕著な変化が認められた。この炎症性サイトカインの変化と急性肺炎病態の関連性についてマウスでも検討するために、サイトカイン定量キットの購入を予定していたが本年度中に全ての検体作製はできなかった。キットは使用期限が短いためにあらかじめ購入しておくことはできないので、次年度に購入することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
iHA-100の治療効果に関与する機序の解析のためにiHA-100投与マウスでの炎症性サイトカインの変化と急性肺炎病態の関連性について検討する。このためのサイトカイン定量キットを購入する。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Sensitization with vaccinia virus harboring hemagglutinin recovers the immune potential against highly pathogenic H5N1 influenza virus in non-human primates2016
Author(s)
Fumihiko Yasui, Yasushi Itoh, Ai Ikejiri, Masahiro Kitabatake, Nobuo Sakaguchi, Keisuke Munekata, Shintaro Shichinohe, Yukiko Hayashi, Hirohito Ishigaki, Misako Nakayama, Yoshihiro Sakoda, Hiroshi Kida, Kazumasa Ogasawara, *Michinori Kohara
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 6
Pages: 37915
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Enhancement of anti-S 1 TLV-1/HTLV-1 immune responses through multimodal effects of anti-CCR4 antibody2016
Author(s)
Kenji Sugata, Jun-ichirou Yasunaga, Michi Miura, Hirofumi Akari, Atae Utsunomiya, Kisato Nosaka, Yuko Watanabe, Hitoshi Suzushima, Ki-Ryang Koh, Masanori Nakagawa, Michinori Kohara, *Masao Matsuoka.
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 6
Pages: 27150
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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