2015 Fiscal Year Research-status Report
自然リンパ球ナチュラルヘルパー細胞の微小環境ニッチの同定
Project/Area Number |
15K15158
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
本村 泰隆 国立研究開発法人理化学研究所, 統合生命医科学研究センター, 基礎科学特別研究員 (10587794)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自然リンパ球 / 微小環境ニッチ |
Outline of Annual Research Achievements |
自然リンパ球ナチュラルヘルパー(NH)細胞は、腸間膜などの脂肪組織に存在するリンパ球集積Fat-associated lymphoid cluster(FALC)に存在する新規のリンパ球として見出された。その後、肺や皮膚、腸管などの非リンパ組織にNH細胞が存在することが明らかってきた。しかし、各組織のNH細胞は、サイトカイン産生能やサイトカイン応答性に差異があることが見出されてきたが、その機能の違いを何が制御しているかは明らかとなっていない。FALCの存在が明らかとなってきたことから、各組織においてもFALC様の微小環境ニッチが存在することが想定され、その微小環境ニッチが、NH細胞の機能を規定しているのではないかと考えた。そこで、本研究では、各組織における微小環境ニッチの存在を検証し、NH細胞の機能を規定する制御機構を明らかにする。本年度は、肺、腸間膜、腸管におけるNH細胞の遺伝子発現解析を行い、各臓器において機能的違いが存在するかを検証した。腸管NH細胞においてIL-4,IL-6,IL-13と言った2型サイトカインの発現が顕著に高い一方、肺NH細胞では、これらのサイトカインの発現が低かった。またサイトカイン受容体では、IL-33受容体は腸間膜NH細胞で発現が高いが、腸管NH細胞ではIL-33よりもIL-25に対する受容体の発現が高かった。このことは、NH細胞が存在する場所に応じて機能を変えていることを示唆しており、微小環境ニッチの存在の可能性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画において、NH細胞の動態を解析するために、NH細胞を追跡できるレポーターマウスを作製を計画していたが、コンストラクションが未だ完成に至っていない点でやや遅れているが、その他の計画は、概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
NH細胞の動態を解析するためのNH細胞を追跡できるレポーターマウスの作製が難航しているため、代替法として計画していた移入実験を進めていく。GFPマウスからNH細胞を単離し、マウスに移入することにより生体内でNH細胞が局在する場を特定する。移入したNH細胞が、肺、腸管において腸間膜に存在するFALC様の構造を取りうるかを解析することにより、各臓器においてNH細胞の微小環境ニッチが存在するかを検証していく。また、移入したNH細胞をGFPを指標に再度単離し、移入前と移入後のサイトカイン産生能やサイトカイン応答性を解析し、NH細胞がこれまでに見出した各臓器特有の表現型へと変換するかを検証することにより、各臓器の環境がNH細胞の機能を規定するかを明らかにする。さらに、免疫応答時において、NH細胞およびNH細胞の集積の場がどのような動態を示していくのかを明らかにするため、GFPマウス由来のNH細胞を移入したマウスを用いて、システインプロテアーゼによる喘息モデルマウスを誘導し、NH細胞の集積の場を経時的に観察していく予定である。
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Research Products
(2 results)