2017 Fiscal Year Annual Research Report
Reappraisal of the" Slow code"
Project/Area Number |
15K15168
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
齋藤 信也 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (10335599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下妻 晃二郎 立命館大学, 生命科学部, 教授 (00248254)
児玉 聡 京都大学, 文学研究科, 准教授 (80372366)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Slow code / スローコード / 医学的無益性 / 心肺蘇生 / 医療倫理 |
Outline of Annual Research Achievements |
蘇生の見込みのない患者に対する形式的な心肺蘇生を「Slow code(スローコード)」と呼ぶが、これは医療倫理の教科書では厳しく禁止されている。一方家族の気持ちを考えれば、これを許容しても良いのではないかという意見もある。そこで今回、医師のSlow codeに関する認識とその実施の実態について調査を行った。 心肺蘇生を行った経験のある病院勤務医204名を対象とした調査によると、これまで医学的に無益であると感じながら心肺蘇生を行った経験が在る医師は96%にのぼった。そうした無益な蘇生を望む家族に対しては、蘇生に意味がないと家族を説得し、蘇生を行わない医師は7%に過ぎず、72%は、そうしたい説明はするものの、それでも家族が蘇生を望む場合は、形式的な蘇生を行うと答えた。こうしたSlow codeに関する認知度は38%に過ぎず、60%近くの医師はSlow codeという用語も概念もはじめて知ったと答えた。Slow codeに対する基本姿勢では、医師への信頼を損なう行為であり、絶対に行うべきでないという回答は3%に過ぎず、大半は程度の差はあれ、これを許容していた。家族の気持ちを考えると積極的に行って良い行為であるという答えも16%あった。Slow codeの実施経験も87%にのぼり、その際に控えた積極的蘇生手技として、強い胸骨圧迫、気管内挿管、除細動が多かった。さらに、こうしたSlow codeに関して,学会や所属医療機関で統一的な対応を予め決めておくべきとした医師は、45%であるのに対して、それは医師個々人の裁量に任せるべきであるとした医師は、53%であった。以上のように、非常に多くの医師がSlow codeを許容しており、半数以上の医師がそれは医師の裁量の範囲であると答えるなど、医療倫理の教科書にあるような単純なSlow code禁止とは相反する結果が得られた。
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Research Products
(11 results)