2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K15178
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Research Institution | University of Tokyo Health Sciences |
Principal Investigator |
上原 栄一郎 東京医療学院大学, 保健医療学部, 講師 (00645327)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 精神科デイケア / 初期適応 / 医療社会学 / 精神科デイケア適応質問紙 / 医療中断 / 会合 / ワーキンググループ / WEBアンケート |
Outline of Annual Research Achievements |
デイケアを何らかの理由で医療中断した利用者の直接調査はタブー視され,柔軟に調査を行えない現状がある.特に倫理的な問題の検討や調査に伴う仮説の形成を,ワーキンググループの会合により質的に構成し,量的調査に向けた質問紙項目などの準備が必須である. 研究代表者らは,2016年10月に医療社会学研究者と精神科専門職ら8名によるワーキンググループ検討会合を実施し,調査方法や質問紙項目,様々な課題について示唆を得た.本調査においては量的な調査手法を用いて,デイケア不適応利用者の選択行動や背景などの実態把握,課題などを明らかにしていく. 現在倫理審査の段階だが,本研究では,全国デイケア施設約1300件のうち半数に,依頼文書・留め置き調査依頼ポスターを配布し,外来通院者・デイケア利用者らの対象者にWEBアンケート回答を求めるものである.施設長によりポスター掲示の可否が判断されるが,掲示された時点で研究同意を得られたものとする.またポスターには2次元バーコードおよびWEBサイトが標されており,対象者は自らのスマートフォン,WEBサイトURLのアンケートサイトに遷移し回答を行うものである.それぞれの回答を送信した時点で研究同意を得られたものとし,氏名などの個人が特定できる情報は回収しない.謝金は発生しない.アンケート結果は基本統計量などを明らかにし,ワーキンググループによる分析・意見の収れんを経て論文としてまとめる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
はじめて精神科デイケアを利用する患者の30~40%には医療中断がみられる.その支援は経験による評価や援助の要素が多く体系的研究は乏しい.研究代表者らは先行研究で,デイケアにおける初期適応過程の評価と援助の為に「精神科デイケア初期適応質問紙」の開発を行い,臨床試用,信頼性,妥当性調査などを段階的に行い臨床版質問紙の完成を遂げた. しかし中断者への直接調査はタブー視され行われず,推測を脱しえない. 本研究は受診行動や意味づけ,医療コミュニケーションの問題など未確認課題が多数ある中断者に対し,医療社会学研究者と臨床家のワーキンググループによる仮説を始点に,選択行動や背景を分析する事にあるが,その量的調査の準備には課題が多く難航している.
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Strategy for Future Research Activity |
医療中断したデイケア利用者の直接調査は,すでにデイケアを中断しているなどの理由で,調査は柔軟に行えない現状がある.しかしながら,外来通院が継続している可能性があり,外来通院者へのアンケート調査を用いて明らかにしていきたい.
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