2015 Fiscal Year Research-status Report
癌細胞と癌関連線維芽細胞の両方に殺細胞効果を示すウイルス療法の開発
Project/Area Number |
15K15183
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
櫻井 文教 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (70370939)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 腫瘍溶解性ウイルス / 腫瘍 / 癌関連線維芽細胞 / TGF-b |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス線維芽細胞株Swiss3T3細胞をTGF-b存在下で6日間培養することで、癌関連線維芽細胞様の細胞(筋線維芽細胞)を誘導した。実際に癌関連線維芽細胞で発現が上昇することが報告されているalpha-smooth muscle actinやFiboroblast activation proteinなどのマーカー遺伝子が上昇することを定量的RT-PCR解析により確認した。またSwiss3T3細胞は、レオウイルスの受容体であるJAM-Aを発現しており、TGF-bで処理した細胞においてもJAM-Aの発現はほとんど低下しなかった。誘導した細胞にレオウイルスを作用させたところ、MOI20で細胞生存率は10%以下まで低下した。レオウイルス作用後のウイルスゲノム量ならびに子孫ウイルスタイターを測定したが、TGF-b処理前の細胞と比較し、大きな上昇は観察されなかった。そこでウイルス作用によりアポトーシスが誘導されているものと考え、カスパーゼ3の活性ならびにアポトーシス関連遺伝子(Noxa, TRAIL, Pumaなど)の発現を検討したところ、有意な上昇が観察された。さらに、レオウイルスがエンドソームから細胞質へ移行するのに重要であることが明らかとなっているカテプシンBおよびLの阻害剤で細胞を前処理したところ、阻害剤前処理群では細胞死が有意に抑制された。従ってレオウイルスが細胞質に移行することで、アポトーシスを誘導していることが示唆された。従ってレオウイルスは、筋線維芽細胞に対しアポトーシスを誘導することが示唆された。現在、担癌マウスより癌関連線維芽細胞を採取し、レオウイルスによる殺細胞効果を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
線維芽細胞株にTGF-bを作用させることで誘導した癌関連線維芽細胞様の細胞に関する検討は、ほぼ終了しており、今後はマウス皮下腫瘍から採取した癌関連線維芽細胞を用いた検討を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はマウス皮下腫瘍から採取した癌関連線維芽細胞を用いた検討を行う。またヒト癌関連線維芽細胞を購入し、本細胞に対するレオウイルスの作用を検討する。さらには、アポトーシス以外の細胞死誘導経路についても検討する予定である。
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Causes of Carryover |
マウス線維芽細胞株にTGF-bを処理した際、予想よりも少ない量で期待する反応が得られたため、試薬消費量が少なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の試薬購入費に使用する。
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