2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of wound dressing which accelerates healing of suppurative wound
Project/Area Number |
15K15186
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
宮崎 孔志 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (60254322)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 化膿創傷 / 創傷被覆材 / 治癒効果 / 黄色ブドウ球菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
創傷の滲出液には種々の細胞成長因子が含まれ、この滲出液をキープするドレッシングタイプの創傷被覆材は、非常に治癒効果が高い一方で、感染創傷には用いることができない。このため、抗菌剤の銀を配合した被覆材が開発されているが、抗菌剤はヒト細胞にダメージを与え、創傷治癒の遅滞が生じる。つまり、高い治癒効果と感染抑制との両立が創傷被覆材の課題となっている。 我々が開発した、病原菌を殺菌することなく、その毒素産生だけを抑制できる抑制剤は ヒト表皮細胞に毒性を示さない。つまり、創傷被覆材にこの抑制剤を配合すれば、高い治癒効果と感染抑制との両立が可能となり、これまで創傷被覆材が抱えていた課題をブレークスルーできるかもしれない。 そこで、まず、黄色ブドウ球菌に感染させた化膿モデルヘアレスマウスおよびヘアレスラットを作出後、抑制剤を浸み込ませた被覆材を化膿創傷部位に貼付し、効果の検証を行った。その結果、創傷治癒面積に大きな差は認められなかったものの、病理組織学的に創部を検証したところ、銀配合の創傷被覆材では、皮下組織の治癒の遅れが認められた。したがって、抗菌剤(銀)の配合は創傷治癒を遅滞させることが示された。 しかし、抑制剤の効果が認められず、その原因としてモデル動物での化膿がすぐに治まってしまうことが考えられた。そこで、モデル動物を免疫不全ヘアレスマウスに変更することにした。予備実験で、感染が維持できることを確認した後、3 mMの抑制剤に浸漬し乾燥させた綿の被覆材を貼付し実験を行った。その結果、貼付3日後から、抑制剤を配合した被覆材で有意に創傷治癒面積の減少が認められた。つまり、化膿創傷の治癒に効果的な創傷被覆材が開発でき、「高い治癒効果と感染抑制との両立」という創傷被覆材が抱える課題をブレークスルーできたと言える結果が得られた。
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