2015 Fiscal Year Research-status Report
抗原固相化ナノファイバーの創製と新規自己抗体検出法開発への応用
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15K15190
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
横山 茂 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 教授 (00210633)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 膜タンパク / ナノファイバー / 自己抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経伝達物質受容体に代表される疎水性膜タンパクは、自己免疫性精神神経疾患の標的となることが推測されている。その診断には疎水性膜タンパクに対する自己抗体の検出システムの開発が必要とされる。今年度は、高感度・高特異性検出システムのコンポーネントとしての抗原膜タンパクの大量発現を試みた。成果は、以下の通りである。 ①アセチルコリン等の神経伝達物質受容体サブユニット4種のcDNAを化学合成し、プラスミド(pTac-2)に組み込んだ。さらに、cDNAを大腸菌発現用ベクター(pColdTFDNA)に組み込み、大腸菌 [Rosetta2 (DE3)PlysSあるいはOrigami2 (DE3)PlysSなど]を形質転換した。 ②低温下(15℃)にてIPTG (isopropyl β-D-thiogalactopyranoside)を最終濃度1 mMになるように添加し、発現誘導をかけた。 ③SDSポリアクリルアミド電気泳動を行ったところ、4種のcDNAのうち3種において、推定される分子量を加えた大きさの融合タンパクの誘導が確認された。クマシーブリリアントブルー 染色にて検出されることから、大腸菌培養液1 mlあたりマイクログラムオーダーのタンパクが出来たと推定された。これは今後の実験に充分な量と考えられた。 次年度以降は、これらのタンパクをナノファイバーに組み込む実験に着手する。同時に、対象とする膜タンパクの種類を増やす。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大腸菌での大量発現がうまく行かないタンパクがあり、ナノファイバー組み込みの実験に進めなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
大腸菌の株を変更し、発現プラスミドの構築を再検討する。
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Causes of Carryover |
大腸菌での大量発現がうまく行かないタンパクがあり、ナノファイバー組み込みの実験に進めなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
(1)先年度(一部今年度)に大量発現させた膜タンパクを回収し、撚糸性を持つ有機溶媒をに溶かす。この溶媒用にポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン等の試薬を購入する。(3)芯鞘スピナレットを購入し、ファイバーの強度を高める。(4)タンパクの抗原決定基が露出されるように、 細胞膜の厚さ(8~10 nm)に近い直径のファイバー作製を作製する。(5)小径のカバーグラスを電極板の上に並べ、放出される抗原含有ナノファイバーを回収する。(6)ナノファイバーによる不織布に裏打ちされた2重膜を作製し、カバーグラスを平底96穴プレートあるいはプラスチックのスティック上に固定する。(7)でき上がったプレートあるいはプラスチックスティックを用いて、患者血清の自己抗体が検出可能か検定する。この検出反応のため通常のELISAで用いられている試薬を購入する。
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