2015 Fiscal Year Research-status Report
消化器癌腹膜転移機構解明に向けての腹腔内遊離癌細胞解析技術の開発
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15K15193
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
香川 俊輔 岡山大学, 大学病院, 准教授 (00362971)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 龍一 岡山大学, 大学病院, 助教 (80534768)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 膵癌 / 腹腔内遊離癌細胞 / 腫瘍関連マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、腹腔洗浄液の細胞成分に対してのTelomeScan 反応条件の検討をすべく、非癌細胞に対して、一定数の膵癌細胞を混入させ、感染実験を行った。混入した癌細胞数に応じて膵癌細胞に対しても1MOIで膵癌細胞が検出できることが確認された。さらに臨床検体の腹腔洗浄液中の癌細胞では、細胞診陽性の膵癌患者からの検体で、GFP陽性細胞が検出可能であること、そのGFP陽性細胞が癌細胞であることの証明には膵臓細胞マーカーであるPDX-1蛋白に対する蛍光免疫染色を行い、陽性細胞が膵癌細胞であることを確認した。 TelomeScan (GFP)陽性細胞と共存細胞の多重免疫染色による解析を行った。腹腔洗浄液の細胞から GFP 陽性細胞を蛍光顕微鏡下に検出するとともに、それらと併存する細胞を各種抗体(上皮系マーカー、血球系マーカー、 中皮マーカー等)を用いて、免疫染色を行ったところ、癌細胞とともにマクロファージが確認され、そのマクロファージは腫瘍関連マクロファージへの分化が確認された。 腫瘍関連マクロファージの癌細胞との相互関係を観察すべく、共培養実験を行ったところ、マクロファージと共培養した癌細胞は間葉系形質の発現が見られ、抗癌剤への抵抗性が惹起されることが明らかとなった。 in vivo での実験モデルを作成すべく、細胞診陽性膵癌患者の腹腔洗浄液から癌細胞を抽出し、のマウス腹腔内への移植による腹膜転移モデルの作成を試みた。今後、癌腹膜播種モデルを確立させ、癌細胞の腹腔内環境と抗癌剤抵抗性との関係について解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
胃癌とともに、膵癌でも腹腔洗浄液内の癌細胞の検出が可能であることが、当初の想定通り確認された。また腹腔内微小環境での重要な要素としてマクロファージが抽出されたが、難治性メカニズムの解析の具体的な解析体対象が見つかり、今後の方向性が明らかとなった。ただし、腹腔内癌細胞の遺伝子解析については、細胞数が少なく、遺伝子解析に十分なDNA量の回収が困難であることも判明したため、今後の対策を講じているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度も引き続き臨床検体を用いた癌細胞検出を試み、癌細胞と併存細胞との関係を抗癌剤抵抗性の観点から解析していく。マウスモデルを確立させ、抗癌剤抵抗性克服へ向けて、マクロファージ機能へ作用する各種薬剤の効果を検証していく。
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Causes of Carryover |
旅費等が当初予定より少なく抑えられたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越しの約11万円を加えた次年度予算141万円余りについて、実験計画に則って、試薬、実験動物等の購入費、学会への旅費に主に充て、執行していく予定である。
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Research Products
(3 results)