2015 Fiscal Year Research-status Report
吸収X線と位相X線の情報を統合した反復型CTアルゴリズムの開発
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15K15210
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
前田 新一 京都大学, 情報学研究科, 助教 (20379530)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | X線CT / 位相X線 / 屈折 / ベイズ推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
位相X線イメージングの物理過程に関して文献調査・研究協力者との打ち合わせを行い、その定式化を行った。位相X線では屈折を検出するが、その屈折角と屈折率との関係は、非線形なスネルの法則によって記述されるが、屈折率が連続的に変化する媒体に於いて媒体内の屈折率変化が局所的に線形に記述されると仮定すると、屈折角と屈折率の関係が線形に記述されることを見出した。さらに線形計算にはスパース行列が利用可能であり、このスパース行列による演算を行うことで空間領域での計算を行ったとしてもアルゴリズムの計算量を大幅に減らせる見込みがついた。また空間領域での計算を行うことで、吸収X線CTのときと同様、観測ノイズによるズレを考慮することができ、ノイズにロバストな推定法とできる。 また、空間領域で計算を行う際はX線源の被写体への投影を直接、記述できるため、平行光線以外のファンビーム、コーンビームにも容易に対応できる。さらに屈折による位置のズレは、屈折角と透過距離によって記述されるが、この従来、透過距離を無限小と仮定せざるを得なかった部分を、有限の大きさで指定できるようになったため、比較的大きな物体の投影像に対しても正確な投影過程を記述できることがわかった。この定式化に沿って、アルゴリズムの導出を行った。 アルゴリズムの導出は、スパース正則化付きの最小化問題として定式化を行っている。さらにこの位相X線CTのアルゴリズムのうち基本的な実装は、終了した。 本研究では、吸収X線CTと位相X線CTの同時再構成を目指すが、既存の吸収X線イメージングに対するベイズX線CTアルゴリズムについて国内会議で発表を行い、研究者らと情報交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたとおり、屈折と位相を統合した統計モデルの構築には成功し、さらに数値計算は主な演算をスパース行列の線形演算で記述できるようになったため、数値計算の容易なコスト関数とアルゴリズムの導出を行うことができた。 X線の投影像を得るシミュレーション環境の構築については、位相X線の屈折量に関するシミュレーションは完成した。ただし、吸収X線の減衰量に関するシミュレーションに関してはまだ構築が終了していない。 本研究では、吸収X線CTと位相X線CTの同時再構成を目指すが、そのうち吸収X線イメージングに対するベイズX線CTアルゴリズムについては国内会議で発表を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
吸収X線の減衰量に関するシミュレーション部分を完成させ、シミュレーション実験が行える環境を整える。シミュレーション実験を行える環境が整えば、そのシミュレーション環境で、提案する吸収X線と位相X線を統合したCTアルゴリズムが動作することを確認し、その性能を確認する。また、その結果を学術誌に発表する。
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Causes of Carryover |
数値計算ソフトウェアのMatlabのToolboxの購入を予定していたが、京大のユーザーグループで利用できる範囲のToolboxで代替可能であることがわかったため、その購入をとりやめた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ソフトウェア購入に予定していた分をプログラミン補助のアシスタントの雇用にまわすことで研究開発を促進させる
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Research Products
(2 results)