2015 Fiscal Year Research-status Report
発達障害の自己・周囲の認識の差からみた2次障害の予防策の検討
Project/Area Number |
15K15223
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
船曳 康子 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 准教授 (80378744)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 発達障害 / メンタルへルス |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉症をはじめとする発達障害は、生来の特性に加え、うつ、神経症、不眠、引きこもり、更には、反社会行動、妄想、パーソナリティなどの2次障害を併発しやすいことは知られている。同じような生得的特性であっても、その後に社会適応するか、2次障害、中でも重篤な精神障害・反社会行動をきたすかは極めて大きな違いであり、少なくとも重篤な2次障害は事前に予防策をとる必要がある喫緊の重要な課題である。このため、生来の特性と、その後のメンタルへルスとの関係を解析し、予防を目指すのが本研究の目的である。 まず、国際的に頻用されるメンタルへルススケールであるASEBAの日本版の標準化を行い、その論文化、また配布できるよう整備を行った。乳幼児から高齢者、自己評価・他者評価の計9様式があるが、そのうち、27年度は、全国3600例に及ぶ児童用の保護者評価と、741例分の教師評価から、それぞれの標準値を完成させた。 また、これら一般データに加え、京都大学医学部附属病院精神科神経科への受診患者にも調査を行い、特性と睡眠を中心とした2次的な問題との関連性につき解析を行った。外来患者データでは、欠損値を認めるデータを除外したところ、309名、初診時平均年齢は19.9歳(SD11.8)であった。一般的な知見同様、年齢は睡眠時間(r=-0.34、p<0.01)、ADHD症状(多動:r=-3.1、p<0.01及び不注意:r=-0.14、p<0.05)に負の相関を認め、睡眠リズム障害(r=0.18、p<0.01)にも有意に正の相関を認めた。年齢を制御変数として影響を除外したところ、睡眠時間-多動(r=0.12、p<0.05)と睡眠リズム障害-不注意(r=0.23、p<0.01)に正の相関を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
発達障害とメンタルへルスを測定する評価スケールの確立は、各年齢層に応じて、着々と整備し、順次、論文公表に至っている。それらの関係性の解析についても、まずは、睡眠、ADHDという観点から、患者群と一般群を比較しながら、方向性を探り、得られた結果の学会発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
順次、全国調査からの解析を進める。成人用と児童用が完成しており、次に、乳幼児保護者、乳幼児保育者、思春期自己評価、高齢者用と進める予定である。その上で、一般群と患者群を比較しながら、ADHD、睡眠以外の特性にも視野を広げて、関係性の解明を行う。発達障害の要素は、スペクトラムの性質を持つため、特性ごとに程度を考慮して、フィールドデータ、受診患者データの質についても検討する。 尺度の標準化、論文化に加え、発達特性とメンタルヘルスに関する解析結果の論文公表も行っていく。
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Causes of Carryover |
代表者の異動に伴い、繰越のできない運営費が発生し、当該研究の予定使用額は、その費用からの補てんを行った。また、28年度にフィールド調査を控えているために、まとまった額を28年度に組んでおくことが実用的と判断した。これらのため、研究遂行自体は予定通り順調に遂行しているが、費用の面では繰越とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
メンタルヘルスと発達障害評価尺度の同時評価の調査をフィールドと精神科受診患者で引き続き行う。フィールドは、幼稚園、学校、成人など、ライフステージごとに分けて行う。その際の、調査費、旅費、人件費、謝金への使用を予定している。 また、解析にかかるソフトや機器などの備品、学会発表のための学会参加費、旅費への使用を計画している。
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[Journal Article] Problems and Adaptive Functioning Reported by Adults in 17 Societies.2016
Author(s)
Rescorla LA, Achenbach TM, Ivanova MY, Turner LV, Althoff RR, Au A, Bellina M, Caldas JC, Chen YC, Csemy L, da Rocha MM, Decoster J, Fontaine J, Funabiki Y, Gudmundsson H, Harder VS, Leung P, Ndetei DM, Maras JS, Marković J, Oh KJ, Samaniego VC, Sebre S, Silvares E, Simulioniene R, Sokoli E, Vazquez N, Zasepa E.
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Journal Title
Int. Perspectives in Psychology.
Volume: in press
Pages: in press
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Syndromes of Self-Reported Psychopathology for Ages 18-59 in 28 Societies.2015
Author(s)
Ivanova MY, Achenbach TM, Rescorla LA, Turner LV, Arnadottir HA, Au A, Caldas JA, Chaalal N, Chen YC, da Rocha MM, Decoster J, Fontaine J, Funabiki Y, Gudmundsson HS, Kim YA, Leung P, Liu J, Malykh S, Markovic J, Oh KJ, Petot JM, Samaniego, Silvares, Simulioniene, Sobot, Sokoli, Sun, Talcott, Vazquez, Zasepa
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Journal Title
J Psychopathology and Behavioral Assessment.
Volume: 37
Pages: 171-183
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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