2016 Fiscal Year Research-status Report
マンガン誘導性ミクログリア活性化によるパーキンソン病発症へのATP13A2の関与
Project/Area Number |
15K15239
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
熊谷 智広 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (20528111)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | パーキンソン病 / マンガン / ミクログリア |
Outline of Annual Research Achievements |
パーキンソン病様症状発症メカニズムや特発性パーキンソン病に対するマンガンの影響などは現在未解明である。近年、遺伝性パーキンソン病のKufor-Rakeb syndrome においてマンガン・トランスポーターの機能を有するATP13A2遺伝子の変異が発見された。一方、パーキンソン病様症状の発症にはミクログリア活性による炎症反応が影響することも報告されている。本研究では、マンガンがミクログリアを活性化させることから、マンガン誘導性ミクログリア活性におけるATP13A2 の役割を解明し、中毒量に達しないレベルのマンガンがパーキンソン病発症に与える影響のメカニズムを解明しようと試みる。平成28年度は、昨年度の研究で明らかにしたミクログリアの細胞死に影響しないマンガン濃度(1μM)前後でのミクログリア活性を、産生サイトカインを測定することで検討した。 96ウェルプレートにマウス株化ミクログリア細胞を1ウェルあたり100μlの培養液とともに10000個播き、37℃、5%CO2下で24時間の前培養後、マンガン濃度が0,1,10μMとなるように各5ウェルに10μlのマンガン水溶液を加え調整しさらに24時間培養した。培養後に採取した上清中のサイトカイン(INF-γ,IL-6,IL-10,IL-12,MCP1,TNF,IL-1β)をBD CBA Kit/Flex Setを用い測定し、データは有意水準を5%未満としKruskal-Wallisの分散分析後に多重比較を行った。コントロール群とマンガン濃度1μM群の比較では、産生量に有意差を認めたサイトカインはなかったが、10μM群との比較ではIL-10,IL-12,TNF,IL-1βで有意な増加を認めた。この結果よりミクログリアに細胞死を起こさないマンガン濃度に注目するとすれば、今後、10μM未満で濃度設定した実験を実施する必要があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成28年度は、適性マンガン濃度下でのサイトカイン産生量によるミクログリア活性評価のみならず、その際のATP13A2のmRNA定量、ATP13A2 knock-down cellによるサイトカイン産生量測定などを予定していたが、サイトカイン測定系、およびmRNA定量系の設定に手間取り予定より進行が遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度までに予定した実験も含め、直接は神経細胞障害を起こさないマンガン濃度下での、ミクログリアとの共培養による神経細胞への影響を評価する。
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Causes of Carryover |
平成28年度の実験が予定通り進行せず、未実施の実験に使用する予定であった予算が残ってしまったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に持ち越しとなった実験遂行のために使用する予定である。
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