2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K15245
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
西村 泰光 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (90360271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 大輔 川崎医科大学, 医学部, 助教 (40638318)
大槻 剛巳 川崎医科大学, 医学部, 教授 (40160551)
武井 直子 川崎医科大学, 医学部, 助教 (00509276)
松崎 秀紀 川崎医科大学, 医学部, 助教 (80335463)
李 順姫 川崎医科大学, 医学部, 助教 (70414026)
吉留 敬 川崎医科大学, 医学部, 講師 (40304307)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ナノ毒性 / チタン / 産業衛生 / 免疫 / 単球 / 空砲 / エンドソーム / ヒト |
Outline of Annual Research Achievements |
チタン酸ナノシート(TNS)曝露下培養時に特徴的な空砲形成を伴うアポトーシスを示すヒト単球中におけるTNSの取り込みと細胞内動態およびエンドソームと空砲形成の関わりを調べた。磁気分離したCD14+単球をTNS曝露下培養し1または2日後回収した。細胞を固定、予備包埋後、酸化オスミウムで後固定し、脱水、エポキシ樹脂包埋後、超薄切片を作成し、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した。予備包埋細胞をパラフィン包埋した後、切片を作成し、走査型電子顕微鏡(SEM)で空胞内部を観察し、エネルギー分散型X線分析でチタンの有無を確認した。TEM画像からTNS曝露1日後の単球内に空胞形成が確認され、2日後には空胞はより大型で多数見られた。空胞内部には数十nmのTNS様物質の存在が確認され、多くの場合で空胞内壁近傍に存在した。SEM画像から空胞内壁に凹凸な集塊様の領域が確認され、X線分析はチタン元素の存在を示した。PBMCを1日培養し接着細胞として単球を得て、3日間の予備培養後Alexa 568 Dextran(A-Dex)で標識し、TNSを加え12時間培養し空胞形成とエンドソーム構造を蛍光顕微鏡で解析した。対照培養では分散性に観察されたA-Dexの蛍光がTNS曝露により細胞内に限局性に観察され、蛍光と空胞との共局在が多く確認された。TNSが単球内に取り込まれ空胞内に存在し、空胞形成がエンドソーム経路と関連することが明らかとなった。小胞内に取り込まれたTNSがエンド・リソソーム経路に侵入し空胞形成が誘導されたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度はTNS曝露下培養時の単球において観察される空砲形成について観察と解析を行った。これにより、TNSに曝露された単球が実際にTNSを細胞内に取り込み、その後に形成される空砲内部の特に内壁近傍を中心に存在しており、そこにはエンドソームを介した機序が関わる可能性が明らかとなった。従って、当初の計画にそって、研究はおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度はTNS曝露の免疫細胞への毒性影響について引き続き解析を行い、単離した各種細胞分画を用いて空砲形成およびアポトーシス以外の毒性影響についても免疫学的解析を行うことを予定している。また最終年度にあたり研究成果の総括を行い、研究発表を積極的に行う。それらにより、チタン酸ナノシート曝露による毒性影響、免疫機能影響についての科学的基盤情報を得るよう万全を期する。
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Research Products
(6 results)