2017 Fiscal Year Research-status Report
カビの増殖をトリガーとした抗カビ活性物質オートリリースシステムの開発
Project/Area Number |
15K15247
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
山口 宗宏 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ付 (60358231)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 正秀 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 副研究部門長 (60357126)
清水 弘樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (30344716)
西村 麻里江 国立研究開発法人農業生物資源研究所, その他部局等, 主任研究員 (30370670) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 抗カビシステム / 機能性表面 / 衛生 / 酵素反応 / 菌類 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、カビが放出する酵素がトリガーとなって、人体に無毒な抗カビ活性物質を必要時に必要量、必要な場所に放出し、カビの増殖を効果的に抑制するシステムを開発するものである。抗カビ活性物質を再現性よく均一に固定化することはその後の活性試験の評価に大きく影響を与えることから、一昨年度はガラス表面への均一な物質固定化方法について検討を進めたが、定性的な固定化には成功したものの定量的な抗カビ活性実験には至らなかった。そこで表面が活性エステル基修飾されている市販の96穴プレートを利用した抗カビ実験を進めたが、表面修飾濃度が十分高くなかったことから、必要表面濃度など活性試験の知見を得ることには成功しなかった。 そこで今年度は、より高い化合物濃度修飾が可能なペプチド合成や核酸合成で利用される固相レジンを使った実験を進めた。まず、これまでの研究にて選定された食品添加物にも利用されるレベルで無毒に近い数種類の抗カビ活性保有天然由来化合物を、レジン修飾可能な化合物形態に変換する研究を進めた。この際、実際の利用展開を考慮して、「リリースされるときは天然由来化合物そのものの構造となること」、「化合物が剥がれ落ちた際には再修飾が室温放置条件下で可能であること」を満たす構造をデザインし、実際にいくつかの化合物をレジン上に様々な濃度で固定化することに成功した。最終的な化合物の構造や純度は、下半期より専従装置として利用している400MHz NMRにて高感度で確認した。しかし、それら修飾レジンの活性試験のデータを得るには至っていない。そこで引き続き事業を延長して活性試験を進めることとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
モデルとしてレジン上に天然由来の抗カビ活性を有する化合物を固定化し、酵素反応が働いたときに化合物が正しくリリースされることも確認できたが、実際のカビを利用した抗カビ活性実験を完了することができなかった。当該研究課題で重要な位置を占めると考えられる抗カビ活性データを得るために、期間を延長して検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
事業期間を延長して、得られた抗カビ活性物質を固定したレジンの抗カビ活性について研究をすすめる。具体的には、実験により各化合物に必要な表面濃度のデータを得て、さらに実際に平面的な基板への固定化条件の決定、ガラスなどでの抗カビ実験検証と、時間の許す限り研究を展開させ当初の目的を達成させる予定である。
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Causes of Carryover |
【理由】 今年度、抗カビ活性物質を固定したレジンの抗カビ活性試験遂行には至っておらず、主にそれらの経費が次年度使用となった。 【使用計画】 時間的な制約から効率的に実験を進めるために雇用する実験補助員1~2ヶ月分、NMRの維持費、試薬費などに使用する予定である。
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