2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K15253
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
関根 美和 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10398670)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ナノ粒子 / 黄色ブドウ球菌 / 細胞毒性 / 殺菌活性 |
Outline of Annual Research Achievements |
黄色ブドウ球菌は、主要な院内感染菌であり、敗血症・骨髄炎・肺炎・食中毒・毒素性ショック症候群など、しばしば重篤な症状を引き起こすことで知られている。また、近年における薬剤耐性菌の発生は公衆衛生、保健医療における脅威となりつつある。金属ナノ粒子、特に科学的に非常に安定である白金ナノ粒子含有コロイド溶液に着目し、衛生保健施設及び病院内等における感染予防法の開発を実現することを目的としている。 殺菌能に関してはナノ粒子に薬剤感受性黄色ブドウ球菌およびバンコマイシン低度耐性MRSAを24時間暴露した後に培養したものの観察をおこなった。 細胞傷害活性に関しては表皮を構成するケラチノサイト、鼻腔粘膜細胞、骨芽細胞のそれぞれを、対照群、ナノ粒子1ugを添加した群、菌のみを5×10^6入れた群、ナノ粒子と菌を両方入れた群としてそれぞれに暴露したものの細胞の生死を解析した。 菌株は薬剤感受性黄色ブドウ球菌209p株、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌Mu50株、表皮ブドウ球菌参考株ATCC12228を使用した。 これらからプラチナナノ粒子は黄色ブドウ球菌、特にメチシリン耐性株であるMu50に対して殺菌活性を持つことがわかり、また、ケラチノサイト、骨芽細胞、鼻腔粘膜いずれに対しても細胞傷害活性は見られず、Mu50株暴露細胞に関しては菌による細胞傷害を阻害している可能性が示唆された。また、プラチナナノ粒子は表皮細胞、内皮細胞、組織細胞に対して細胞傷害活性がほとんどない可能性が示唆され、さらにナノ粒子の共存により黄色ブドウ球菌の細胞傷害が抑制されたことから、プラチナナノ粒子によりヒト細胞が防御される可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
白金ナノ金属粒子の殺菌作用機序解明に関しては、薬剤耐性菌に対してより高い抗菌活性を持つ可能性の示唆により、更なる検討の必要性があることがわかった。また、ヒトに対する細胞毒性に関しては、市販細胞に対しては各種細胞に対して毒性が低いことが示唆され、さらに異なる由来の細胞や、動物を用いたin vivo の細胞毒性の急性毒性及び慢性毒性の評価の必要性がある。殺菌効果検討及び細胞毒性の評価全体としてみて、おおむね順調であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
各種薬剤耐性黄色ブドウ球菌及び緑膿菌等特に院内感染で問題となる菌群に対する殺菌能をMIC(最小発育阻止濃度)及びMBC(最小殺菌濃度)により検討し、さらなる薬剤耐性菌に対する殺菌効果の作用機序解明を行う。 マウスを用いた急性及び慢性毒性の検討、Amesテストを用いて変異原性試験を行う予定である。 また、保健施設内適用性の検討も行う予定である。
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Causes of Carryover |
国際学会参加を予定していたが、より良い成果を発表するために参加を延期したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度はこれまでに得られた結果をもとに更に良い成果得て国際学会にて発表する計画である。
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Research Products
(1 results)