2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K15253
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
関根 美和 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10398670)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 院内感染 / 黄色ブドウ球菌 / ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
黄色ブドウ球菌は、先進諸国における主要病原菌であり,その症状は食中毒や皮膚炎から敗血症、骨髄炎、肺炎、毒素性ショック症候群等しばしば重篤な症状を引き起こし生命を脅かすものまで広範囲である。また、主要な院内感染原因菌であり人口の約20~30%が保菌しているといわれている。さらに90年代後半には壊死性肺炎や多臓器不全等を引き起こす強毒性市中獲得薬剤耐性株が出現し、公衆衛生、保健医療における脅威となりつつある。 薬剤耐性菌の蔓延する現代社会においては保健施設等における感染を未然に防ぐ院内感染対策が不可欠であり、より高い感染予防の開発は急務である。我々は、金属ナノ粒子、特に化学的に非常に安定している白金ナノ粒子含有溶液に着目し、衛生保健施設や病院内等に適用できる感染予防法の開発を実現することを目的としている。プラチナナノ粒子含有溶液の黄色ブドウ球菌に対する殺菌作用の更なる検討に続き、市販培養細胞に対する細胞傷害活性の検討を行った。薬剤感受性黄色ブドウ球菌209p株とVISA(vancomycin-intermediate resistance)Mu50株に対する殺菌能の検討を行った。市販培養細胞に対する細胞傷害活性の検討として、ケラチノサイト、鼻腔粘膜細胞、骨芽細胞、微小血管内皮細胞への細胞傷害を検討した。適宜培養した各種細胞にナノ粒子含有溶液を24時間暴露し、細胞の生死を細胞傷害として検討を行った。培養細胞にMOI=50となるように各種菌株を暴露させたもの、同時にナノ粒子を添加したものの細胞傷害を観察した。これらの結果からプラチナナノ粒子は特にメチシリン耐性株に対してより強い殺菌能を示すことが示唆された。また、ケラチノサイト、鼻腔粘膜細胞、骨芽細胞、微小血管内皮細胞に20時間暴露させたところ、細胞傷害が見られなかったことから、プラチナナノ粒子含有溶液はヒト細胞に対して細胞傷害活性が低いことが考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
自身の体調不良のため、研究を進めることが困難であった
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Strategy for Future Research Activity |
各種院内感染起因菌に対する殺菌能の検討及びその作用機序の解明を行う。動物を用いたin vivo の細胞毒性の検討及び変異原性試験を行う予定である。また、各種細胞による貪食の検討を行う。さらに、保健施設内適用性の検討も行う。
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Causes of Carryover |
諸事情により研究が遅れたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初計画に基づいた使用をする
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