2017 Fiscal Year Annual Research Report
Identification of Substances that Relate to Irritable Bowel Syndrome
Project/Area Number |
15K15267
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福土 審 東北大学, 医学系研究科, 教授 (80199249)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 脳腸相関 / 過敏性腸症候群 / 遺伝子 / ストレス / 炎症 / 消化管運動 / 消化管知覚 / 神経伝達物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome; IBS)の関連遺伝子が環境刺激の影響を受け、蛋白・代謝産物を介してIBSを発症することを証明することを目標にした。副腎から放出されるグルココルチコイドは海馬などに存在するグルココルチコイド受容体(glucocorticoid receptor: GR)に結合し、HPA軸を調節する。本研究では主にGR遺伝子の単塩基多型(single nucleotide polymorphism: SNP)とそのハプロタイプが、IBSと健常者とで異なる、IBSエンドフェノタイプのサブタイプ・心理的異常に影響するという仮説を検証した。対象はIBS群157名、健常対照群157名である。対象者から採血し、DNAを分離し、ゲノム分析を行った。GRをコードするNR3C1遺伝子から4つのSNPを選択した。対象者の心理状態は、抑うつ・自覚ストレス・状態‐特性不安尺度で定量化した。選択した4つのSNPにおいて、IBS群と健常者群間のSNP発現頻度に有意差は見られなかった。しかし、rs6196については、マイナーアレル保有群(CT)が非保有群(TT)に比べ、有意に高い自覚ストレス、状態不安を示した。特に便秘型IBSで、抑うつ、自覚ストレス、状態不安を悪化させた。男女別の解析では、rs6196のマイナーアレル保有群において、男性の抑うつ、自覚ストレスが有意に高くなった。rs6196多型によりGR機能が抑制されたと考えられ、これによりHPA軸フィードバック機能が低下しストレス反応が持続することで、心理状態の悪化に繋がる機序が示唆される。GR遺伝子多型はIBS関連の心理状態に影響することが分かり、仮説が支持された。研究は対象を健常男性と下痢型IBS男性に絞り、脳形態画像、腸内細菌叢、炎症性サイトカイン、心理行動の関連解析に展開した結果、脳腸相関の関連性が健常者とIBSでは異なることが示された。得られた結果は、ストレス関連疾患全般に拡張することが可能であり、科学的・社会的意義が大きいと考えている。
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Research Products
(13 results)