2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K15273
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 浩一 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00528424)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 骨格筋 / アンジオテンシン / サルコペニア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最初の目標はマウスを用いてアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)やその分解産物であるアンジオテンシン 1-7(A1-7)が筋力に与える影響とそのメカニズムを検討することにある。これまでにACE2欠損マウスで野生型マウスに比し6ヵ月齢以降に握力の低下を認め、高齢の2年齢マウスまでその傾向は持続した。二年齢のACE2欠損マウスと野生型マウスにA1-7と媒体を4週間投与したところ、A1-7投与により握力の改善を認め、その効果はACE2欠損マウスでより顕著であった。一方、CTによる下肢骨格筋容積解析や解剖後の筋重量においてACE2欠損マウスでの低下は認めなかった。現在、神経刺激による前脛骨筋の張力測定や解剖学的検討を行っている。また腹腔内糖負荷試験やインスリン負荷試験を用いた耐糖能やインスリン感受性の評価、メタボリックケージを用いた基礎代謝の評価を開始している。A1-7の受容体であるMasの欠損マウスを用いた検討では1年齢まで握力検査を行ったが、野生型マウスと比べ握力の低下を認めず、ACE2欠損マウスとは異なる表現型が得られている。このためA1-7の受容体として他の候補分子の欠損マウスを用いて握力測定を行う計画を進めている。認知機能への影響に関してはACE2欠損マウスとアルツハイマー病発症モデルのAPP23過剰発現マウスを交配作成し行動解析を行っている。また培養神経細胞を用いたA1-7の投与実験を開始しMEF2の活性化やMEF2依存性の神経細胞分化作用が促進するか確認する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画においてACE2欠損マウスで認めた筋力低下やA1-7による筋力増強作用はMas依存性である場合とそうでない場合を想定していたが、Mas非依存性であることを示唆する結果を得ている。それに応じて研究計画を調整しており概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要に記した候補分子の欠損マウスに関しては他の研究室で保有しており協力して実験を推進していく予定である。他の計画に関しては予定通り推進していく。
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Causes of Carryover |
研究計画においてACE2欠損マウスで認めた筋力低下やA1-7による筋力増強作用はMas依存性である場合とそうでない場合を想定していたが、Mas非依存性であることを示唆する結果を得た。そのため新たな候補遺伝子の欠損マウスを次年度に使用する計画を新たに立て研究費を調整する必要が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新たな候補遺伝子の欠損マウスを飼育中であり飼育費や動物実験にかかる費用として次年度使用額を使用予定である。
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