2017 Fiscal Year Research-status Report
体形比較課題による摂食障害の病態と治療的介入の検討
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15K15282
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
兒玉 直樹 産業医科大学, 医学部, 講師 (10352303)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 摂食障害 / 多変量解析 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
健常者17名(健常群)、神経性食思不振症制限型6名(疾患群)を解析対象とした。T1強調画像をFreeSurfer software library version 6.0用いて109の解剖学的領域ごとの体積を求めた。全頭蓋内容積で領域ごとの体積を補正し、その値をLASSO algorithmを用いた機械学習による多変量解析を行った。LASSO algorithmで作成したモデルをleave-one-out 交差検証によって検証したところ、Accuracy 74%、Sensitivity 100%、Sepcificity 65%で、このモデルによる予測は統計学的に有意であった。(p =0.02; χ2 test)。 このモデルによって選択された領域は左下前頭回三角部(Model Coefficients -0.34)、左中前頭回(外背側前頭前野)(Model Coefficients -0.61)、左楔前部(Model Coefficients -0.26)、左上後頭溝・横後頭溝(Model Coefficients -0.03)であった。このモデルによって選択された下前頭回三角部は心理的葛藤の処理に関連する、外背側前頭前野は情動制御に関連する、楔前部は自己評価に関連するとされており、いずれも神経性食思不振症の神経基盤と考えうる領域であった。また、このモデルによって計算されたprobability(0から1の間の数字で出力され、1に近いほど疾患群である可能性が高いと予測する)はEDE-Qの体形へのとらわれ(Spearman's rho =0.729, p=0.00008)や体重へのとらわれ(Spearman's rho =0.695, p=0.0006)と有意に相関した。このことからもこのモデルで計算されたprobabilityも摂食障害の病態を反映しているものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
健常群と比較して疾患群のリクルートが遅れている。健常群については、今後も十分被験者をリクルートできる体制が整っていると考える。一方で患者群については、研究のための謝金以外には本人にメリットが少ないと考える人が多く、予想以上に研究への参加に同意していただける方が少なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
疾患群について他の医療機関とも連携を検討してさらにリクルートに関して注力する。また、他施設研究に参加することとして、単独施設で十分にサンプル数を収集できなかったとしても、他施設とのサンプルと組み合わせることで、意味のある研究成果につなげていきたい。
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Causes of Carryover |
本年度までに実施した研究ではサンプルサイズが十分ではないと判断した。研究機関を延長して十分なサンプルサイズを確保する必要があると考えた。そのために、今後はさらに研究参加者のリクルートに力を入れるともに、解析方法についても検討してゆく。
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