2015 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム編集と発生期APJリガンドを活用した新しい心不全治療法の探索
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15K15304
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
久場 敬司 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10451915)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Elabela / Apelin / ACE2 / CRISPR |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題達成のために平成27年度は下記の検討を行った。 1)心不全モデルマウスにおけるELABELAの発現変動の解析:大動脈縮窄による圧負荷心不全モデル(TAC)やアンジオテンシンII持続投与モデルにおけるELABELA mRNAの発現パターンを調べたが、心不全ストレスにおける大きな発現変動は見られなかった。 2)Apelin、ELABELAによる心機能制御の作用機構の解析: TAC心不全モデルにおいて、オスモティックポンプによるELABELAペプチドの持続投与を行ったところ、ELABELAペプチドはApelinと同様に心臓に対する陽性変力作用があることが分かった。さらにELABELA遺伝子欠損マウスの準備を進め、ELABELA遺伝子欠損マウスの心機能解析の予備的データを取得した。また、Apelinとの作用効果を比較すると同時に、ApelinとELABELAの二重遺伝子欠損マウスの作製を進めた。また、in vitroの培養細胞を用いたACE2 プロモーターレポーターアッセイで、ELABELA がApelinと同様にACE2の発現を誘導することを明らかにした。 3)ゲノム編集による心臓形成遺伝子のゲノム変異マウス作製・解析:RNAiスクリーニングにより取得した心臓発生に関与する遺伝子群ならびに他のスクリーニング解析で報告されているものの看過された遺伝子群について、ES細胞でのCRISPR/Cas9ゲノム編集により3系統の遺伝子変異マウスを作製した。さらに、これらのマウスのG0世代での心エコーによる心機能解析により、予備的なデータではあるが心機能に表現型を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
発生期の遺伝子ELABELAを中心にした解析が順調に進んでおり、また発生期にかかわる新規遺伝子群に着目して、ゲノム編集を用いた遺伝子変異マウスの作製ならびに心機能解析が進んでおり、発生期にかかわる新規遺伝子群の心機能調節における役割、意義が明らかにしつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、心不全マウスモデルにおけるELABELAの機能解析をペプチド投与ならびに遺伝子欠損マウスで進める。ApelinとELABELAの二重遺伝子欠損マウスの解析もできる予定である。また、ELABELAのペプチドの生体内動態をACE2による分解の観点から明らかにするために、質量分析のシステムで、ELABELAペプチドのC末端がACE2により切断されるかを検討する。Apelinプロモーター下でのELABELA発現マウスの作製を引き続き進める。また、細胞内における新規遺伝子ネットワーク群の相互作用の解明に向けて、新規遺伝子について発現ベクターを構築し、293T細胞に遺伝子導入して過剰発現させ、相互作用する分子を免疫沈降、質量分析により探索する。また、CRISPR/Cas9ゲノム編集技術によりES細胞でこれらの新規遺伝子の内因性蛋白のN末端あるいはC末端にFLAGタグの配列を相同組み換えにより挿入、FLAG標識し、内因性蛋白の相互作用因子について解析を行う。
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Research Products
(4 results)