2015 Fiscal Year Research-status Report
ミエロイド由来の未分化細胞群を標的とした慢性炎症制御を目指した新規治療の開発
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15K15310
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中神 啓徳 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座教授 (20325369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中神 太志 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (60739176)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 慢性炎症 / ワクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
1)動脈硬化および糖尿病モデルマウス(慢性炎症病態)における解析 動脈硬化などの慢性炎症病態でのMDSCおよびM1/M2マクロファージや炎症性サイトカインとの関連を明らかにするために、高脂肪食負荷後の野生型マウス(C57Bl/6マウス)での検討を行った。FACSを用いた検討では、脾臓などの組織をコラゲナーゼを用いて分解し、その中に含まれるMDSC(Gr-1・CD11b陽性)を検討したが予想に反して野生型マウスと大きな差は認められなかった。一方、担癌モデルで検討したところ、脾臓でのMDSC(Gr-1・CD11b陽性)は著明に増加していたが、癌組織ではそれほど増加傾向は認められなかった。すなわち、MDSCは急性期の免疫応答に対する適応といて増加する可能性が考えられるが、慢性炎症病態においてはその発現を大きく変えるものではない可能性が示唆された。 2)MRP8/14を標的としたワクチンによる薬効評価 我々が開発した液性免疫主導の治療ワクチン技術(特願2011-091493)を用い、MRP14の蛋白配列・構造から抗体として認識されやすい部位(B-cell epitope)でかつT細胞の活性化配列(T-cellエピトープ)を含まない10前後のアミノ酸を抗原として選定した。さらにKLHとconjugateされた候補ペプチドを複数合成してマウスにアジュバントと一緒に2回投与して、抗体価測定から抗原のスクリーニングを行った。結果として、MRP8/14、それぞれに対する抗原配列で抗原量依存的に抗体価が上昇することが分かった。さらにワクチンによって誘導された抗体がペプチド断片だけでなく全長の蛋白に対しても反応することを確認した。そこで、この2種類の抗原をワクチンの候補として、高脂肪食負荷後の野生型マウス(C57Bl/6マウス) にワクチン投与を行ったが、耐糖能の改善は認められなかった。一方。MRP14が血小板の活性化に関する可能性が報告されていることから、現在MRP14ワクチンを用いた薬効試験を実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
糖尿病モデルでの検証は仮説とは異なりMRP8/14との関連性はそれほど明確ではなかったが、癌モデルあるいは血小板の活性化という他機能との関連が示唆される結果を得たため、総合的に見ておおむね順調な進展と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
糖尿病・動脈硬化などの慢性炎症のみならず、癌および血小板の活性化も含めた広い視野でMRP8/14の機能を検証し、治療ワクチンのしても方向性を探る。
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