2016 Fiscal Year Annual Research Report
The effect of RSV infection in infancy on hygiene hypothesis
Project/Area Number |
15K15325
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
柴田 岳彦 国立感染症研究所, 免疫部, 研究員 (00739196)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 衛生仮説 / RSV / アレルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
近年アレルギー患者数が増えている。いくつかの原因が挙げられるが、その中でも “衛生仮説” に注目が集まる。衛生仮説は、乳幼児期に多くの感染を経験することでType I helper T (Th1) 細胞が増え、後の過剰なTh2免疫応答であるアレルギーの発症を抑制するという考え方である。これに対して我々は、Th2免疫応答を誘導する乳幼児期のrespiratory syncytial virus (RSV) 感染も衛生仮説のひとつの要素となり、後のアレルギー体質を作る原因であるという仮説を立てた。本研究はこれを検証することを目的とした。 まず、ダニ抗原 (HDM) の反復経鼻投与により肺におけるTh2サイトカイン産生の促進と、それに伴う気道抵抗値 (AHR)、好酸球浸潤を伴う炎症、粘液産生の亢進がみられるアレルギーモデルの作製に成功した。次に、1週齢マウスにRSVを経鼻投与により感染させ、RSV感染モデルを確立した。8週齢になったこれらRSV感染マウスを用いHDMアレルギーモデルを作製した。結果、1週齢時にRSVを感染させたマウスはコントロール群と比較してより強いHDMアレルギー反応がみられた。すなわち、乳児期のRSV感染はその後のアレルギー反応に影響を与えることが示唆された。 一方、従来の衛生仮説を模倣するグループとして1週齢時にLPSを投与したマウスを用いてアレルギーモデルを作製したところ、予想に反しコントロールと比較してより強いアレルギー応答を示した。少なくとも、LPS以外の刺激では後のアレルギー応答にどのような影響を与えるのか、あるいはその他アレルギーモデルでの応答について調べる必要がある。再現性がみられた場合は、その免疫学的機構の解明が必要となる。この解明は、従来の衛生仮説に新たな知見を与えるだけではなく、新しい概念を提唱する可能性が期待される。
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