2015 Fiscal Year Research-status Report
ポドサイト濾過フィルターの分子構造と機能調節の分子メカニズム
Project/Area Number |
15K15330
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
竹居 孝二 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (40322226)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 大輔 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (70535195) [Withdrawn]
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | podocyte / dynamin |
Outline of Annual Research Achievements |
ポドサイトは腎糸球体毛細血管を覆う上皮細胞である。ポドサイトは多数の足突起を有し隣接するポドサイトの足突起と足突起嵌合を形成し、嵌合間隙に張られたスリット膜が糸球体濾過フィルターの主要な役割を果たす。しかし、糸球体の複雑な構造のために、ポドサイトの分化に伴う足突起嵌合形成、スリット膜形成の分子機構については未解明な部分が多い。今年度は、マウスポドサイト細胞株を用いて、その培養条件を最適化し、ポドサイトの分化過程をin vitroで再現する系を構築した。インターフェロンγにより誘導されるマウスポドサイト細胞株MPC細胞を用い、増殖期から分化期へと分化誘導した。コーティング、培養条件、分化誘導条件の最適化により、高頻度でポドサイト嵌合形成を再現する事が出来た。MPC細胞の分化は分化マーカータンパクであるシナプトポディンの発現、局在により足突起嵌合形成はスリット膜構成分子ネフリン、タイトジャンクション分子ZO-1の局在により確認した。今後、この系を用いて、足突起嵌合形成における細胞骨格の変化とその制御分子を解析する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、マウスポドサイト細胞株を用いて、培養条件の検討を行い、糸球体内でろ過機能に働くポドサイト同士が形成するスリット膜に相当する足突起嵌合形成を再現することに成功した。さらに、並行して人由来の細胞株も入手し、培養条件の検討を行っている。上記の高効率に足突起嵌合形成を再現できる系の確立により、足突起嵌合形成を変化させる細胞内骨格を制御する分子を同定する基礎が出来た。既に、足突起嵌合形成には、アクチン骨格とチューブリン骨格が重要であることが判明しており、この知見を元に生化学的、細胞生物学的に解析していく。このように、計画した研究は、おおむね順調に進行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究実績の欄で述べたが、マウスポドサイトの足突起嵌合形成の再現系が確立できたため、この系を用いてアクチン線維形成、チューブリン線維形成を制御する可能性のある分子の同定を質量分析、細胞生物学的手法、生化学的手法を用いて解析していく。
|
Causes of Carryover |
今年度に配分された金額は、該当研究に効率よく使用できた。マウスポドサイトの培養条件の最適化を確立したが、ヒト由来のポドサイトの培養の最適化条件の決定には、年度をまたがる可能性が高く、次年度に有効に研究費を使用するために、未使用額が生じた。未使用額と次年度配分額を合わせて、有効に研究費用とする予定である。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に繰り越し、培養関連の消耗品として使用する。
|
Research Products
(6 results)
-
[Journal Article] Possible role of cortactin phosphorylation by protei kinase Cα in actin-bundle formation at growth cone2015
Author(s)
Hiroshi Yamada, Tatsuya Kikuchi, Toshio Masumoto, Fan-Yan Wei, Tadashi Abe, Tetsuya Takeda, Teiichi Nishiki, Kazuhito Tomizawa, Masami Watanabe, Hideki Matsui, Kohji Takei
-
Journal Title
Biology of The Cell
Volume: 107
Pages: 319-330
DOI
Peer Reviewed
-
[Presentation] 成長円錐におけるPKCαのコルタクチンリン酸化によるアクチン制御の可能性2015
Author(s)
山田 浩司,菊池 達也,増本 年男,魏 范研,阿部 匡史,竹田 哲也,西木 禎一,富澤 一仁,渡部 昌実,松井 秀樹
Organizer
第88回日本生化学会大会・第38回日本分子生物学会年会 合同大会
Place of Presentation
神戸国際会議場,神戸国際展示場
Year and Date
2015-12-01 – 2015-12-04
-
-
-
-
[Presentation] PKCによるコルタクチンリン酸化は成長円錐のアクチンダイナミクスを制御する2015
Author(s)
竹居 孝二,菊池 達也,増本 年男,魏 范研,阿部 匡史,竹田 哲也,西木 禎一,富澤 一仁,渡部 昌実,松井 秀樹,山田 浩司
Organizer
第38回日本神経科学大会
Place of Presentation
神戸国際会議場,神戸国際展示場
Year and Date
2015-07-28 – 2015-07-31