2015 Fiscal Year Research-status Report
急性腎障害でのミトコンドリアとインフラマゾームの調整による新規治療法の開発
Project/Area Number |
15K15331
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
寺田 典生 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (30251531)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 急性腎障害 / ミトコンドリア / オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、透析療法に至っている患者数は、全国で31万人を越え、特に急性腎障害(AKI)は、糖尿病の増加、高齢化が加わり、発症頻度は高まっており、全入院患者の10%、ICU入院患者の30%で発症するといわれている。AKIをおこした場合長期的な腎機能低下と生命予後の悪化が起こるが、その機序とリスク因子は不明である。本研究はいまだ解明されていないAKIとオートファジー低下およびミトコンドリア機能によるAKIの病態増悪と慢性化へのメカニズムを遺伝子改変マウスを駆使して検討した。平成27年度はAKIでThioredoxin-interacting protein (TXNIP)が亢進し、インフラマゾームが活性化することを見いだし、TXNIP欠損マウスでのAKIの予後が悪化することを確認した。本研究計画ではAKIの病態解明に関してミトコンドリア代謝、TXNIP遺伝子を含めた基礎研究を展開し、さらに今後は高知大学の臨床データを解析しながら新規診断法や治療法への臨床応用に展開するための基礎研究をおこなう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AKIで最も障害をうける近位尿細管はミトコンドリアの含有量が高く、オートファジー/マイトファジーがSestrin2とBNIP3により誘導されアポトーシスを抑制し、AKIの病態に関与することを報告している(Am J Physiol 2013)。さらにTXNIPはThioredoxinと結合し酸化ストレスを調整する蛋白であるが、申請者はAKIでTXNIPが亢進し、インフラマゾームが活性化することを見いだし、TXNIP欠損マウスでのAKIの予後が悪化する実験結果も得た。TXNIPによるミトコンドリア機能調整とマイトファジーの制御は極めて興味深く、TXNIP-KOマウスを使用し、AKIでの腎機能、インフラマゾーム(ASC, IL-1b, Caspase1のWestern Blotにより評価)、ミトコンドリア機能(ATP5a, COX IV, PGC-1a, UCP2)、アポトーシス関連蛋白(TUNEL染色、JNKのリン酸化)で評価した。対象群としてwild typeマウスを使用した。wild type マウスで虚血/再還流によるAKIで24時間後をピークにTXNIPが誘導されることならびに培養尿細管細胞でTXNIP siRNAによりH2O2によるインフラマゾームの活性化は抑制され、ミトコンドリア機能低下が回復することを認めており、これらの系をさらに進める。TXNIP-KOマウスではミトコンドリアの形成不全が起こることを見いだしている。
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Strategy for Future Research Activity |
TXNIP-KOマウスではミトコンドリアの形成不全が起こるメカニズムを検討するとともに、TXNIP-KOマウスとGFP-LC3-TGマウスのdouble遺伝子改変マウスを使用し、AKIの予後の検討を行う。AKIのモデル両側腎動脈閉塞再還流(30分)あるいはシスプラチン投与(20mg/kg腹腔投与)を行う。また系時的にCreatinine,BUNを測定するとともにAKI後12-24時間後の腎機能とミトコンドリア機能(collagen type IV, a-SMA染色および蛋白定量)を評価する。同時にGFP陽性顆粒として観察されるオートファジーを共焦点顕微鏡でモニターし、double-TGマウスと(TXNIPの発現は野生型の)GFP-LC3-TGマウスの腎機能、ミトコンドリア、オートファジーを含め、急性腎障害を検討する。 また倫理委員会の許可(承認番号22-61)を得て、急性腎障害の腎生検検体でオートファジー/マイトファジー検出とその意義を検討する。既にマウス腎組織での共焦点顕微鏡および電子顕微鏡を用いたオートファジー/マイトファジー検出の系は申請者の研究室では確立されつつあり、実際のヒト急性腎障害でオートファジー/マイトファジーの系が働いているかを検討する。すでにラット尿細管細胞ではマイトファジーの電子顕微鏡での確認に成功し、技術的な問題はない。
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Research Products
(3 results)