2016 Fiscal Year Research-status Report
伸長リピート特異的転写抑制によるリピート病の根源的治療開発
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15K15339
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中森 雅之 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (60630233)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 筋強直性ジストロフィー / ハンチントン病 / トリプレットリピート |
Outline of Annual Research Achievements |
CAGやCTGといった塩基繰り返し配列(リピート)の異常伸長により引き起こされるリピート病では、異常伸長DNAから転写されたmRNA(筋強直性ジストロフィーなど)や、翻訳された蛋白(ハンチントン病など)が毒性を示すことが知られている。これまでリピート病では、個別の異常mRNAや蛋白をターゲットとする治療研究がすすめられてきたが、いまだ十分な効果は得られていない。本研究の目的は、リピート病全般においてより高い治療効果を達成するため、異常伸長アリルからのmRNA転写を特異的に抑制する化合物を探索し、細胞・動物モデルでその効果を検証して、リピート病の病因を根源から断つ治療法を確立することにある。本年度は、昨年度に確立した、ルシフェラーゼcDNAの5’側非翻訳領域に異常伸長リピートを挿入したC2C12細胞モデルを用い、ハイスループットスクリーニングを行った。より大規模な低分子化合物ライブラリより、伸長CTGもしくはCAGリピートの転写を選択的に抑制する約100のヒット化合物を同定した。800のCTG・CAGリピートをもつ筋強直性ジストロフィーモデル細胞を用いた二次スクリーニングにより、リピート特異的転写抑制効果が特に高い5つの化合物を同定し、異常伸長CUGリピートによるRNA毒性の低減効果(スプライシング異常の改善や核内異常RNA凝集体形成の抑制)を確認するとともに、動物モデルへの投与を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに確立しているハイスループットスクリーニングシステムを用いて、異常伸長CTGリピートの選択的転写抑制効果をもつ化合物を数多く同定している。また、別の細胞モデルを作成し、異常CAGリピートからの転写を選択的に抑制する化合物を同定可能なハイスループットスクリーニングシステムの確立にも成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
一次・二次スクリーニングにより同定された化合物の効果を、iPS細胞や動物モデルで検証する。伸長リピート特異的転写抑制作用機構の解明にも着手する。
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Causes of Carryover |
平成28年度はすでに保有する研究機器、試薬・消耗品、無料の大阪大学内低分子化合物ライブラリーを用いたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、iPS細胞や動物モデルなどを使用し、また有償の低分子化合物ライブラリーを使用するため、次年度使用額へ充当する。
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Research Products
(15 results)