2015 Fiscal Year Research-status Report
血管内皮細胞における翻訳後修飾依存的なFoxO1標的遺伝子の同定と医学応用
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15K15354
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小川 佳宏 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (70291424)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 培養血管内皮細胞 / リポカリン2 / インスリン抵抗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、培養血管内皮細胞(培養EC)にアデノウイルスを用いて野生型FoxO1、恒常的脱リン酸化FoxO1(FoxO1-ADA)および恒常的脱アセチル化FoxO1(FoxO1-KR)を導入し、DNAマイクロアレイ解析により野生型FoxO1群を対照とした際のFoxO1-ADA群とFoxO1-KR群において発現調節が異なる遺伝子を同定することを研究計画の一つとしていた。これまで、FoxO1-ADAアデノウイルスをマウスEC株(MS-1細胞)に導入し、DNAマイクロアレイ解析を施行した。FoxO1-ADA(100MOI)によりFoxO1 mRNAは約30倍に上昇を確認した。DNAマイクロアレイ解析により、14の遺伝子の発現がFoxO1-ADAにより3倍以上に増加していた。このうち、リポカリン2(lipocalin-2/NGAL)は定量的RT-PCR及びELISA法により、遺伝子発現及び蛋白分泌の増加が確認された。lipocalin-2はグラム陰性菌に対する鉄イオン封鎖効果による強力な静菌作用を有する分子として同定され(Nature 432:917-921, 2004)、EC機能との関連では、ラットに対するlipocalin-2投与により血管組織のeNOS機能不全(eNOSアンカップリング)、酸化ストレス産生の増加を伴い、血管機能障害が惹起されることが報告されている(Br J Pharmacol 2012;165:520-31)。lipocalin-2欠損マウスにおいては大動脈のインスリンシグナルが増強することが報告されており(Br. J. Pharmacol.165:520-531, 2012)、lipocalin-2は血管のインスリン抵抗性と血管機能障害を誘導する可能性が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度はFoxO1-ADAによる遺伝子発現変化の網羅的解析まで終了したが、当初の研究計画に挙げたFoxO欠損ECにおける変異体導入と他の変異体における遺伝子発現解析とプロテオーム・メタボローム解析まで実施できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の研究計画に加えて、平成27年度研究計画の一部である野生型FoxO1と他のFoxO1変異体の比較検討とともにプロテオーム・メタボローム解析を施行する。網羅的解析に加えて、FoxO1-ADAにより発現が誘導された15遺伝子についても他の変異体による発現変化の検証を進める。
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Causes of Carryover |
物品(消耗品)の一部に値引きがあり、31,000円程度の余剰が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度(平成28年度)の物品費として使用することとする。
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