2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K15359
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
千葉 滋 筑波大学, 医学医療系, 教授 (60212049)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | nestin / 幹細胞ニッチ / Notch / 赤芽球造血 |
Outline of Annual Research Achievements |
(背景)血液細胞は絶え間なく骨髄で産生されている。このためには、造血を支持する環境(微小環境と呼ばれる)が必要である。この微小環境は造血支持細胞によって作られるが、造血支持細胞にはさまざまな由来の細胞があり、その全貌は明らかになっていない。 (目的と方法)本研究の目的は、遺伝子改変マウスと患者骨髄サンプルを駆使して、骨髄の造血支持細胞の実態を明らかにすることである。特に、造血支持細胞の中で、重要な機能を持つと報告されている、”nestin”というタンパク質を発現する細胞に注目する。マウスを用いる研究では、”NOTCHシグナル”という細胞内シグナルが、”nestin”を発現する細胞でのみ伝達されないように遺伝子を改変したマウスを作製して解析に用いる。患者サンプルを用いる研究では、免疫染色という手法を用いて”nestin”を発現する細胞の分布や数の異常を検討する。 (結果)(1)”Nestin”発現細胞だけで”NOTCH”シグナルが伝わらないように遺伝子を改変したマウス(nestin-NOTCH障害マウス)は、骨髄における赤血球系統の血液細胞産生が障害されていた。一方で、脾臓において赤血球系統の血液細胞産生が亢進していた。また、正常(野生型)マウスの骨髄細胞をレシピエントマウスに移植する実験を行う際、レシピエントマウスとしてnestin-NOTCH障害マウスを用いると、この遺伝子改変マウスそのものと同様に、骨髄における赤血球造血の障害と脾臓における赤血球造血の亢進が観察された。(2)Nestin-NOTCHマウスにおける異常の原因を検索するために、正常、およびNOTCHシグナルが伝わらない、”nestin”発現細胞からRNAを調整した。(3)骨髄異形成症候群患者の骨髄標本の免疫染色により、”nestin”を発現する造血支持細胞が増加していることが明らかになった。 (結論)マウスおよび患者双方で、”nestin”発現造血支持細胞について情報が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定した遺伝子改変マウスの異常についての解析が進み、またその分子基盤について解析する準備も整っている。また、骨髄異形成症候群患者骨髄でnestin陽性細胞が増えていることを見出し、この由来解明に向けて免疫染色による解析が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)H27年度に準備したGFP陽性細胞由来のRNAを用いてRNAシークエンスによる発現比較を行い、nestin陽性BMSCにおいてNotchシグナル下流で赤芽球造血を支持している分子機序を解明する。 (2)骨髄異形成症候群患者骨髄で増えているnestin陽性細胞の由来を明らかにする。
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Research Products
(2 results)