2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K15363
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
片山 義雄 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (80397885)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 嗅覚刺激 / 造血制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、予備実験で捉えていたデータの確認と、匂い成分の中で細胞増殖や遊走を制御することが報告されている物質としてα-ピネンをマウスに投与することで造血前駆細胞の動員効率が変化するかどうかを検討した。まず、マウスの組織において、骨髄、胸腺、脾臓での匂い感受シグナル特異分子 AC3 と Golf の mRNA 発現を RT-PCR で確認した。また、これらの発現は造血幹細胞に近い細胞株 FDCP-mix や T細胞株 EL4 でも確認できた。現在、各種細胞株、マウス骨髄組織でのタンパクレベルでのこれらの分子の発現をウエスタンブロット法にて検討中であり、発現を確認できているものもあるが、再現性を順次確定して行く予定である。分取した骨芽細胞系列でも同様の検討を行い、血球系と骨芽細胞系列での共培養におけるこれらの分子の発現変化(特に接着点周囲において)を検討する準備を進めている。また、in vivo の実験として、サイトカイン G-CSF による造血前駆細胞動員にα-ピネンを併用した際の動員効率を検討している。現在までに試してみたプロトコールでは、動員効率に再現性のある変化は認めていない。これは G-CSF による骨髄環境変化が強力で、α-ピネンによる影響が打ち消されてしまうためと考えており、現在、定常状態のマウスにα-ピネンを投与することで、末梢血血球数や骨髄造血システムに変化がないかどうかを検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定通りの検討を行っているが、まだ十分な in vitro の系を確立できていないことと、 in vivo のα-ピネン投与の結果が予想通りには出ていないため。現在、条件を変えて検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
骨髄造血系細胞と造血支持間葉系細胞の共培養でのAC3, Golf の発現の検討を行うなど、in vitro での AC3, Golf の造血システムにおける役割の検討を進める。In vivo の系では、α-ピネンの骨髄造血システムに与える影響を引き続き検討するとともに、これ以外の生理活性を持った匂い物質についても検討を行う。また、これらの検討がある程度確立した段階で、AC3 ノックアウトマウスの搬入を進め、造血組織をはじめとした予定の検討を行う。
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Causes of Carryover |
In vivo の実験結果が現在までのところ予想通りではなく、匂い物質の機能的解析の実験にまだ深く入れていないことが大きな理由の一つと考えられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究推進計画がやや遅れているため、当初の予定通りの予算執行予定に加え研究補助員への謝金として一部助成金を使用する事で、研究計画推進を加速する予定である。
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