2016 Fiscal Year Research-status Report
末梢血を用いて腫瘍性血小板増加症を診断する画期的診断法の確立
Project/Area Number |
15K15368
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
小松 則夫 順天堂大学, 医学部, 教授 (50186798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森下 総司 順天堂大学, 医学部, 助教 (10635866)
河合 純 国立研究開発法人理化学研究所, 予防医療・診断技術開発プログラム, 副プログラムディレクター (30391923)
荒木 真理人 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80613843)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 本態性血小板血症 / 骨髄増殖性腫瘍 / 疾患マーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
末梢血中の血小板が著増する造血器腫瘍である本態性血小板血症(essential thrombocythemia: ET)の診断には,8割の症例において見られるJAK2,CALR,MPL遺伝子における変異の存在の証明がET診断の強力な根拠となる。しかしながら,残りの2割にはそのような疾患マーカーが存在しないため,非腫瘍性に血小板が増加している症例(反応性血小板増加)の除外が必須である。実臨床上ではETと反応性血小板増加の鑑別に苦慮することも多いため,本研究では,ETと反応性血小板増加を鑑別し,ETの診断を可能とする疾患マーカーを同定し, ETの診断に応用することを目的とした。 疾患マーカー候補の探索を目的に,ET 9検体(JAK2・CALR・MPL遺伝子変異陽性例を3例ずつ)と反応性血小板増加が明らかな症例6検体のそれぞれから血小板由来RNAを抽出し,これを用いてRNA-seqを実施した。得られたリードカウントデータを正規化し,GSEA解析を行ったところ,得られた発現データは血小板の働きに関わるgene setにエンリッチされることがわかり,調製したサンプルが確かに血小板由来であることが示唆された。続いて,得られたリードカウントデータを用いてディファレンシャル解析を行い,ET症例と反応性血小板増加例との間で発現量に差のある遺伝子を抽出した。これらを用いて主成分分析を行い,それぞれの集団がどのような位置関係にあるかを解析したところ,ET症例間で遺伝子変異の違いによる差を確認できたが,ET症例と反応性血小板増加例を明確に分離することはできなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在のアプローチではETと反応性血小板増加を明確に分離することはできていないが,ディファレンシャル解析により抽出された遺伝子にはETと反応性血小板増加例との間に明らかに発現量に差のあるものも含まれているため,全体として「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の,ディファレンシャル解析により得られた候補群から,ETと反応性血小板増加との間に明確な発現量の差が見られるものに絞って,定量的PCR法による検討を実施する。本検討のため,血小板RNAの定量化に用いることのできる内部標準遺伝子の探索もおこなう。
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