2015 Fiscal Year Research-status Report
成人スティル病におけるマクロファージの基礎・臨床からの統合的解析による病態解明
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15K15374
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
桐野 洋平 横浜市立大学, 附属病院, 講師 (50468154)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 成人スティル病 / フェリチン / HO-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、成人スティル病の新規バイオマーカーの開発と、疾患の予後(再燃の有無など)と遺伝学的・血清学的特徴の関連性を明らかにすることを目的としている。本年度は、AOSD患者103例(山口のAOSD分類基準を満足)および対照疾患26例(治療前の他の膠原病、敗血症等)患者の臨床的特徴と血清中のフェリチン・HO-1値を分析した。寛解基準は臨床症状消失とフェリチン正常化と定義した。ROC解析と単変量・多変量解析にて山口の基準との診断精度の比較をおこなった。血清フェリチン・HO-1はともにAOSDの活動期・再燃時に対照群と比較して高値であった。血清フェリチンとHO-1は有意に相関していたが、両者が乖離する例も認めた。寛解例ではフェリチンは全例正常範囲だったが、20.6%の症例でHO-1は高値であった。13例の治療58.4日後にはフェリチン・HO-1ともに有意に低下していたが、86.4%の症例でフェリチンは正常化していた一方でHO-1は53.8%の症例で高値に留まっていた。ROC解析によりフェリチン>830ng/ml(感度85.7%、特異度82.5%)、HO-1>21.1ng/ml(感度94.4%、特異度87.8%)がカットオフ値と算出された。多変量解析により、「定型的皮疹」、「リンパ節腫脹・脾腫」、「RF/ANA陰性」、「HO-1またはフェリチン高値」、が診断に寄与する独立した因子であること分かった。血清フェリチン・HO-1はAOSDのバイオマーカーとして有用であるが、その変動は両者で異なることもあった。今後さらに症例を蓄積して有用性を検討し、新分類基準を提案したい。さらに遺伝学的解析にも着手すべく準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AOSDの診断における血清フェリチンとHO-1の有用性は確認でき、国際学会での報告を行っている。今後コントロール症例を蓄積して、論文発表に向けて準備する段階まで来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、コントロール症例(発熱性疾患)の血清をさらに蓄積し、AOSDにおける診断への有用性を確立し、論文投稿を目指す。さらに予後予測に関する多施設共同研究を推進する。遺伝学的検索はDNAを集積し、全エキソーム解析を準備している。
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Causes of Carryover |
本年度は、解析と研究発表に重点をおいていたため、未使用分が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は血清HO-1とフェリチンの測定をさらに施行していく予定である。さらに全エキソーム解析を本学遺伝学講座と共同で開始する予定である。また、国際学会での発表も予定しており、研究予算を使用する予定である。
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Research Products
(2 results)