2016 Fiscal Year Research-status Report
成人スティル病におけるマクロファージの基礎・臨床からの統合的解析による病態解明
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15K15374
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
桐野 洋平 横浜市立大学, 医学部, 講師 (50468154)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 成人スティル病 / ヘムオキシゲナーゼ / フェリチン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、成人スティル病の新規バイオマーカーの開発と、疾患の予後(再燃の有無)などと、遺伝学的・血清学的特徴との関連性を明らかにすることを目的としている。本年度はAOSD患者145例、対照52例(治療前の他の膠原病・炎症性疾患、敗血症などの感染症)の臨床的特徴、血清フェリチンおよびHO-1の比較を行った。本年度はさらにエキスパートによる客観的なAOSDの独立した判定を行った。また、寛解の定義をより厳密に設定した。
結果:エキスパートによる判定、重複例などを除外すると、確実なAOSDは88例であった。これらを活動期、寛解期、再燃群の3群に分けて解析した。血清フェリチン、HO-1はともにAOSD活動期で対照と比し高値であり、治療によって低下し、再燃で上昇した。血清フェリチンは治療後短期間で低下したが、HO-1は高値で持続する症例も多かった。ROC解析では、フェリチンとくらべてHO-1の感度・特異度は高かった(フェリチンの感度77.5、特異度81.1、HO-1の感度92.5、特異度81.1)。多変量解析により新たなAOSDの分類基準に有望な因子として、「典型的皮疹」、「39℃以上の発熱の持続」、「血清HO-1高値(96ng/ml以上)」、「咽頭痛」、「好中球増加」を抽出した。
考察:血清HO-1がフェリチンと比して特異度が高いことは重要な知見である。ただ、HO-1の測定は一般臨床ではまだ難しいことから、フェリチンを用いた分類基準も提唱する必要がある。現時点の問題点としては、対照が50例と少ないことである。これをさらに増加させて、検出力と強めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに解析は開始しており、研究成績は日本リウマチ学会、米国リウマチ学会で複数回学会発表をおこなっている。H29年度中に論文化することを目指している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後対照をさらに増やして、新たなAOSDの分類基準を提唱する。さらに患者血球を用いたin vitroの実験をH29年度より開始しており、より疾患メカニズムに迫る研究を継続してH29年度の報告に繋げたい。
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