2015 Fiscal Year Research-status Report
ロドデノール誘発性白斑症における隠蔽自己抗原の解析とその応用
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15K15375
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
松下 祥 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (50167649)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | がん免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ロドデノールの結合を受けたチロシナーゼ蛋白から隠蔽自己抗原ペプチドが産生され、これを非自己と認識したT細胞によってメラノサイトが傷害されるという作業仮説を検証することを目的の1つとしており、なんらかの環境要因によって生理的には存在しない自己ペプチド断片が出現し、それを非自己として認識したT細胞によって自己免疫反応が誘発される、と考えられる。 この自己ペプチド断片に高い親和性を有するHLA対立遺伝子(産物)は疾患感受性を支配する遺伝要因になっている。ロドデノール誘発性白斑症患者末梢血単核球(PBMC)を用いた実験から1)患者8名中7名がHLA-DR4陽性である(日本人集団でのHLA-DR4の陽性率は30-40%)2)メラノーマの腫瘍抗原ペプチド(チロシナーゼ由来)に対するHLA-class IおよびII拘束性の特異的T細胞応答が認められる。という成果を得た。 これらの結果は、感受性にはHLAが遺伝要因として関与しており、患者PBMC中には自己チロシナーゼペプチドに特異的な自己反応性ヘルパーT(Th)細胞およびキラーT(Tc)細胞が存在することを強く示唆している。 また、目的の2つ目として、このような免疫応答がロドデノールで誘発されるのであれば、ロドデノールはメラノーマに対する抗腫瘍免疫応答を誘導できるはずである。 実際、マウスを用いた実験では腫瘍抑制効果を認めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文も刊行され、関連学会等での発表も順調である。 (Dermatology 232:44-49, 2016)
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Strategy for Future Research Activity |
患者PBMCを用いてペプチド特異的なT細胞株の樹立を追加して試みる。 HLAのDNA typingは患者総数30名を目標とする。これによりDNAレベル(4桁)のHLA対立遺伝子と本症の相関が明らかとなる。同じDR4でも04:05と04:06では結合するペプチドが大きく異なるので、これは重要である。 T細胞応答はこれまでのところPeptide 2,4(クラスⅠ拘束性)およびPeptide 8,9(クラスⅡ拘束性)に特異的である。健常人にこのような自己反応性は認めない。 樹立したT細胞株については、ペプチド特異性、HLA拘束性、サイトカイン産生性、CD4/8発現を決定する。対照として本症と相関するHLA対立遺伝子陽性の健常人のPBMCを用いた解析も行い、健常人にはこのような自己反応性は存在しないことを検証する。 ロドデノール処理B16細胞と無処理B16細胞をX線照射後にC57BL/6マウス(各群3匹)に10日間隔で2回皮下注し、その後X線非照射B16細胞を皮下注して、腫瘍長径が10 mmを越えるまでの日数を観察した。ロドデノール処理群においては有意に腫瘍増殖の遅延が認められた。ロドデノール処理の様々な条件を用いてその効果の再現性を検証する。
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Causes of Carryover |
研究用消耗品や試薬の計画的な利用に努め、効率よく研究を進めることが出来た事が理由だと考えられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度も有意義な研究が行えるよう、計画して使用していきたい。
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Research Products
(1 results)