2015 Fiscal Year Research-status Report
もやもや病関連疾患のリスク診断を可能にする簡便なRNF213遺伝子検査の開発
Project/Area Number |
15K15385
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
呉 繁夫 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10205221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨永 悌二 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00217548)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | もやもや病 / RNF213遺伝子 / 高頻度変異 / MMP9 / リスク診断 / 早期介入 |
Outline of Annual Research Achievements |
もやもや病は両側ウイリス動脈輪の閉塞と異常側副血管新生による脳虚血・出血を特徴とする。脳動脈再建術による早期介入で予後が改善する事が示されている。発症リスクの高い個体を見出し早期介入を可能にする、スクリーニング法の開発が望まれる。申請者らは全ゲノム相関研究を行い、発症リスクを190倍に高めるRNF213創始者変異c.14576G>Aを同定し(J Hum Genet,2011)、特許を取得した(特開2010-259390)。申請者らは、病態解明のためRnf213ノックアウト(KO)マウスを作成し、血管刺激時の反応が患者病理所見と類似していることを示した(Brain Res、2014)。作成したKOマウスにおいて細胞間マトリックス・メタロプロテアーゼをコードするMMP9遺伝子の発現を検索すると、内頚動脈の免疫染色性、mRNAの発現は共に亢進していた。我々は、以前よりもやもや病患者の血中MMP9濃度の高値を報告している(Surg Neurol, 2009)。KOマウスの実験結果から、MMP9発現亢進は血管閉塞による虚血の結果でなく、病初期から存在ことが示唆された。 以上から、RNF213遺伝子検査とMMP9血中濃度による、より正確な高い発症リスク診断を目指し、研究を開始した。今年度は、まず、RNF213遺伝子検査法の確立を行なった。もやもや病はアジア、特に日本に多く、疾患概念も我が国で確立され、「もやもや病」という日本語の疾患名が世界で広く使われ、MMDに関する研究も我が国が主導的立場にある。脳ドックなどでMMD発症リスクが簡便に評価出来れば、ハイリスク個体(特に小児)への早期介入が可能になり、予後の改善が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、まずRNF213創始者変異c.14576G>Aの遺伝子型を簡便かつ迅速に検出する方法を確立した。検出法は、申請者らが以前に開発した簡便・迅速なSNP検出法であるCASSOH法(特願2002-323419)にて検出する方法を応用した(特許出願2002-323419遺伝子変異検出法~国際特許出願番号PTC/JP2003/01404)。 CASSOH法は、イムノクロマト・ステックを用い、そこに現れる紫色の沈降線の有無で遺伝子変異の有無を検出する方法である。この診断法では、血液の代わりに唾液で検査が可能であり、採血の必要がない。従って、PCR装置さえあれば、どの施設でもMMDリスク診断が可能になる。もやもや病患者から、インフォームド・コンセントを取得後に血液検体を収集し、DNAを精製した。このDNA検体のRNF213遺伝子型をキャピラリー・シークエンサーにて決定し、この結果と今回作成したCASSOH遺伝子検査の結果を照合することで、検査の正確さを検討した。現在、多くのDNA検体を用いて、臨床検査に応用可能な正確性を有するかどうかを検証を行なっている
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、東北大学病因小児科および東北大学病院神経外科でフォローしているもやもや病患者とその家族の血漿検体を対象として、血中細胞間マトリックス・メタロプロテアーゼ9(MMP9)濃度を測定していく。血中MMP9を特異抗体を用いた酵素抗体法により測定する。 RNF213遺伝子の遺伝子型と血中MMP9濃度の測定結果の2つのパラメーターを用いたもう編もう亜病の発症を予測する発症リスク診断を試みる。RNF213遺伝子変異を持ちながらもやもや病を発症しない個体も多く存在する。従って、RNF213遺伝子変異陽性者のなかで、血中MMP9濃度が高い群と低い群との間でもやもや病の発症に差があるかどうかを調べ、発症リスクの予測に寄与するかどうかを検証し、脳ドック施設などで利用可能な発症リスク診断システムの確立を目指す。
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Causes of Carryover |
平成27年度は、RNF213遺伝子検査法を確立した後、少数のDNA検体を用いた正確性の検証を行った。少数検体による検証では、十分な正確性を持つ事が判明した。平成27年度に予定していた多数のDNA検体の検査費用は、平成28年度に実施する多検体による検討に使用する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度には、多数のDNA検体を用いた正確性の検討を実施する。平成27年度に、使用せずに残した予算は平成28年度に使用する。
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[Journal Article] Temporal profile of magnetic resonance angiography and decreased ratio of regulatory T cells after immunological adjuvant administration to mice lacking RNF213, a susceptibility gene for moyamoya disease.2016
Author(s)
Kanoke A, Fujimura M, Niizuma K, Fujimura T, Kakizaki A, Ito A, Sakata H, Sato-Maeda M, Kure S, Tominaga T.
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Journal Title
Brain Res.
Volume: 1642
Pages: 1-9
DOI
Peer Reviewed
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