2015 Fiscal Year Research-status Report
ゼブラフィッシュ創薬:ダイアモンド・ブラックファン貧血モデルを用いた化合物の探索
Project/Area Number |
15K15394
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
吉浜 麻生 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 研究員 (00381103)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上地 珠代 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 研究員 (10381104)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 化合物スクリーニング / ゼブラフィッシュ創薬 / リボソーム / 疾患モデル / 貧血 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ゼブラフィッシュのノックダウン胚を用いることによる in vivo 化合物スクリーニング法の確立に挑戦した。リボソームタンパク質(RP)S19遺伝子は、ヒトの先天性の赤芽球低形成であるダイアモンド・ブラックファン貧血(DBA)の原因遺伝子と言われているが、DBAは発症機序の解明は進展しておらず、また、新たな治療法の開発は難しい状況にある。私達は、モルフォリノアンチセンスオリゴ(MO)でゼブラフィッシュのRPS19遺伝子の発現を抑制することにより、脊椎動物で初めてDBAモデルの開発に既に成功している。本研究においてDBAモデルを用い in vivo 化合物スクリーニングのパイロット実験を行った結果、(1)一細胞期におけるインジェクションは約2時間で約350個が可能であり、24時間胚に化合物を処理する操作では一度に約90種類を行うことができた。また、化合物処理を始めて24時間後に血球数の回復の程度を顕微鏡下で評価することが可能であった。モデル生物の作成から貧血の回復を見せる化合物の候補を選抜するまで約3日と、ロースループットながらも効率良く行うことができた。さらに、(2)薬物代謝の in vivo 実験系の開発に取り組み、25種の化合物について、ゼブラフィッシュの初期発生胚の飼育水中に排出される代謝産物を測定した。この時、薬物代謝に関わる既知の遺伝子をMOを用いてノックダウンし、WTの代謝産物のパターンと比較した。これにより代謝酵素の活性および能力について、in vivo 解析を行う事ができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
化合物スクリーニングシステムを構築するためのパイロット実験は順調に進展しており、将来のDBA治療に有効な医薬品の開発に向けた化合物の同定に効果的であると評価している。一方、創薬のみならずDBAの発症機序を解明するためには代謝産物を解析する実験系の構築は必要であり、そのための in vivo 解析系の構築に成功したことから、本研究課題は「おおむね順調に進展している。」と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
スクリーニング法を検討する過程で用いた化合物の一部はDBAモデルの貧血が改善される可能性があった。引き続きスクリーニングを行うと共に、第一段階の検定で成績の良かった化合物について再現性を検証する。
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Causes of Carryover |
ゼブラフィッシュの飼育を研究室のメンバーで補うことにより飼育のための補助員を新たに雇用しなかったこと、および、解析に関する試薬と器具を再利用することにより消耗品費の負担が少額で済んだことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品は、実験を進めるための一般的な試薬・器具類の購入が必要となる。旅費は、国内外の学会で成果を発表し評価を受けるために使用する。謝金は、研究を効率的に進めるためにゼブラフィッシュの飼育を行う実験補助員を1名雇用する。
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