2015 Fiscal Year Research-status Report
小児薬剤に対する新型iPS細胞由来肝細胞による先駆的解析システム戦略の創成
Project/Area Number |
15K15397
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
儀間 愛子 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, その他部局等, 研究員 (10727613)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 成育医学 / 先天性代謝異常症 / 再生医療 / iPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、先天性高アンモニア血症患者に対する細胞治療としてのヒト多能性幹細胞由来肝細胞様細胞の作製とその有効性の評価を目的とするものである。重篤な高アンモニア血症患者へは肝移植が有用だが、ドナー不足等の問題が多いため、移植までの代替細胞としてヒト多能性幹細胞由来肝細胞様細胞の開発が望まれている。臨床応用へ向けての最適な肝細胞分化誘導系の確立と、その有用性の探索などの前臨床試験の基盤技術を整備する。また肝細胞の凍結保存技術は未だ確立されておらず、細胞保存による肝細胞としての機能低下が問題視されている。そこで本研究では、分化誘導肝細胞の移植までの保存法についても技術開発を行った。特に、ヒトiPS細胞を用いて、無血清条件下で液性因子を添加することにより肝細胞への安定した分化誘導方法を開発する。分化誘導した肝細胞について、網羅的遺伝子発現解析と機能アッセイにより、肝臓細胞としての成熟度の評価を行った。さらにiPS由来肝細胞について、マイクロアレーを用いた網羅的遺伝子発現解析により、肝幹細胞、肝機能細胞の表層マーカーの同定、そのリガンドの利用、分化関連遺伝子の探索を行い、分化成熟化因子を同定し、肝細胞への分化・成熟化に関わる分子機序について検討した。特にアルブミン分泌量、薬物代謝酵素活性を指標として評価した。さらに、肝臓の発生に重要であると報告されている遺伝子をアデノウイルスベクターを用いてヒトiPS細胞から分化誘導した内胚葉系細胞に導入することにより、alpha-fetoprotein(AFP)陽性の肝幹細胞の分化が促進されることを確認した。既に開発済みの分化誘導技術に加え、三次元培養技術を駆使してヒトiPS細胞→内胚葉系細胞→肝幹細胞→成熟肝細胞の分化過程における遺伝子発現変化(メッセンジャーRNAあるいはマイクロRNA等のnon-coding RNA)を網羅的に解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト肝細胞の組織採取は順調に推移しており、iPS細胞の樹立や特性解析も順調に実施できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の研究を継続するとともに、肝幹細胞誘導促進技術を基に、肝臓の発生に重要な既知の遺伝子を導入することで、ヒトiPS細胞の肝細胞分化・成熟化が促進されるか否かを検討する。また、得られた肝細胞を三次元培養することで更なる成熟化を試みる。
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Causes of Carryover |
当初予定した研究打ち合わせ旅費の支出を行わなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残金分は消耗品費として使用する
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