2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K15412
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
下村 裕 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70397107)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 毛髪 / ケラチン35 / 毛髪特異的 / Creリコンビナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの謎に包まれている毛髪の分化機構を明らかにするための手法の一つとして、毛髪に発現するさまざまな遺伝子のノックアウトマウスの作製および解析があげられる。しかしながら、それらの遺伝子の多くが表皮や他臓器にも広く発現しているため、重篤な毛髪外症状を呈するという問題がある。本研究では、毛髪に特異的に発現する毛ケラチン35(Krt35)遺伝子のプロモーターの調節下にCreリコンビナーゼを発現するトランスジェニックマウス(Krt35-Cre)を作製することを目的とする。平成27年度は、mouse Krt35 promoterの塩基配列の下流にCreリコンビナーゼの塩基配列を組み込んだベクターを作製し、直鎖化後にマウス受精卵前核にマイクロインジェクションした。それにより、トランスジーン陽性のF0マウスを2匹得た。平成28年度は、F0マウスを野生型マウスと交配させることにより、トランスジーンをヘテロで有するF1マウスを1匹得た。その後、トランスジーン陽性のF1マウスをさらに野生型マウスと交配させることにより、トランスジーン陽性のF2マウスを計8匹得た。それらのF2マウスをRosa26-loxP-stop-loxP-EYFPマウス(B6. 129X1-Gt(ROSA)26Sortm1)と交配させ、ジェノタイピングによりKrt35(+)/EYFP(+)、Krt35(-)/EYFP(+)、Krt35(+)/EYFP(-)またはKrt35(-)/EYFP(-)のF2マウスを抽出し、それぞれの皮膚および内臓を採取してOCTコンパウンド内に封入して凍結保存した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
トランスジーン陽性のF0マウスを野生型マウスと交配させた際に、トランスジーンをヘテロで有するF1マウスがなかなか得られなかった。交配をやりなおした結果、ようやく目的のF1マウスを得ることに成功した。さらに、研究代表者が平成29年1月16日に新潟大学から山口大学に異動したことも影響し、当初の研究計画よりもやや進行が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に採取したマウスの組織を用いて、Krt35(+)/EYFP(+)のマウスでEYFPが毛髪特異的に発現しているかどうかについて、RT-PCR法と組織切片の蛍光顕微鏡下での観察により検討する。目的通りのトランスジェニックマウスの作製に成功した場合は、B6. 129-Ctnnb1tm2Kem/KnwJ(beta-cateninのノックアウトアレルを有する)マウスと交配させ、毛髪特異的にWntシグナルを欠失させた際にどのような毛髪異常を生じるかを解析する。
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