2015 Fiscal Year Research-status Report
新規に同定した血管周囲脂肪組織による代謝と免疫のクロストーク
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15K15417
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
椛島 健治 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00362484)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 皮膚科学 / 免疫学 / 高脂肪食 / 尋常性乾癬 |
Outline of Annual Research Achievements |
肥満は2型糖尿病、動脈硬化などの様々な炎症性疾患に関与することが知られる。皮膚においても、代表的な炎症性角化症である尋常性乾癬が肥満の人で多く、また肥満の程度と臨床症状が相関することが知られている。従来、肥満による脂肪組織の肥大・活性化が炎症を誘導すると考えられてきたが(、皮下脂肪組織と乾癬病変の主座である表皮から真皮上層との時空間的な離存は、その説明を困難なものとさせる。 申請者らは、二光子励起顕微鏡の導入により皮膚の三次元可視化に成功し、皮膚血管周囲に皮下脂肪とは異なる脂肪細胞の存在を新規に同定し、PATと命名した。PATは真皮内に存在するため、肥満における尋常性乾癬の病態形成に関与する可能性がある。 高脂肪食による肥満マウスの作成は既に確立されている。一方、自然免疫の作動薬であるイミキモドの外用により、尋常性乾癬様皮膚炎モデル(Th17型の皮膚炎)を誘導できる。 そこで、高脂肪食負荷マウス(コントロールは通常食負荷マウス)に尋常性乾癬様皮膚炎を発症させたところ皮疹が著明に増悪した。さらに、炎症部位におけるT細胞サブセットなどの免疫細胞の質的および量的差異をフローサイトメトリーを用いて比較、検証したところ、IL-17産生のgdT細胞の浸潤が著明に亢進していた。 次に、皮下脂肪を除去した皮膚をコラゲナーゼ処理し、遠心分離後をすることによりPATを回収し、通常食マウスと高脂肪食マウスの皮下脂肪とPATの遺伝子発現プロファイルをDNAアレイにて解析したところ、TNF-alphaやgdT細胞を遊走させるケモカインが上昇している事を見出した。 さらに、PATに高脂肪食の成分であるリノレン酸などを添加したところ、同様のサイトカインやケモカインの産生が亢進した。以上の結果は、高脂肪食負荷により、皮膚のPATを介して尋常性乾癬の症状が増悪に導かれていることを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度に実施する予定であった計画通りに研究が進展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
当研究室では二光子励起顕微鏡を用いることにより、マウスの皮膚脂肪組織を生きたまま非侵襲的に観察することに成功し、PATの同定に成功した(Egawa et al. J Dermatol Sci. 2013)。免疫細胞蛍光タンパクtomatoやシグナル伝達により蛍光色が変化するFRETマウス(京都大・医・松田道行博士との共同研究)を導入したマウス(各種皮膚構成細胞が赤色に蛍光標識)に高脂肪食を投与し、さらに脂肪を緑色に標識する蛍光色素であるBODIPYを投与して、PATと皮膚免疫細胞を可視化する。この技術導入により、高脂肪食によるPATの形態変化、PATに集積する細胞の動態や、相互作用による細胞活性化などをリアルタイムに観察する。PAT周囲に特定の細胞が集まっているのであれば、脂肪細胞と当該免疫細胞を共培養させ、PATによる免疫細胞の活性化、増殖に対する機能制御機構を解析する。 次に、マウスで得られたPATに関する知見がヒトに適用されるかどうかの検討を行う。皮膚生検の余剰サンプルを用いて二光子励起顕微鏡により解析し、ヒトのPATの存在を観察し、さらに肥満による形態の変化などを明らかにする。 臨床現場において尋常性乾癬の診断は視診と皮膚生検による。尋常性乾癬患者の皮膚生検組織の一部を用いて二光子励起顕微鏡により解析し、乾癬患者の皮膚PATの形態の特徴を明らかにする。また、PATの形態と尋常性乾癬の重症度を表すPASI(Psoriasis Area and Severity Index)スコアを比較することにより、生物学的製剤の治療前後などにおける乾癬の重症度とPATの関連性を明らかにする。
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Causes of Carryover |
マイクロアレイの解析の一部を次年度に用いることにしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マイクロアレイ解析に用いる予定。
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