2015 Fiscal Year Research-status Report
脳脊髄液のメタボローム解析を用いた双極性障害の病態解明に関する研究
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15K15423
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
橋本 謙二 千葉大学, 社会精神保健教育研究センター, 教授 (10189483)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脳神経疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
双極性障害は、統合失調症と並ぶ代表的な精神疾患であるが、その病因は未だ不明である。今回、双極性障害患者および年齢等を合致させた健常者の脳脊髄液のメタボローム解析を実施した結果、双極性障害患者のイソクエン酸濃度が健常者と比較して有意に高い事を発見した。また、双極性障害患者の死後脳を用いた研究から、イソクエン酸の代謝酵素イソクエン酸脱水素酵素(IDH: Isocitrate dehydrogenase)のサブタイプ(IDH3A)の遺伝子発現やタンパク発現が双極性障害患者群で減少していることを見出した。 また、ラットに4週間気分安定薬(リチウムやバルプロン酸)を投与し、ラットCSFのメタボロミクス解析を実施しても、イソクエン酸濃度は変化しなかったことから、服薬の影響は低いと推測された。 IDH3Aは細胞のミトコンドリア内にあるクエン酸回路に存在することから、今回の発見は、双極性障害の脳では、ミトコンドリア内のクエン酸回路のIDH3Aの減少により、イソクエン酸濃度が高くなっていると推測される。今回の研究成果は、これまで提唱されている双極性障害のミトコンドリア異常仮説を支持する重要な成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今回の研究成果は、精神医学の権威ある雑誌にアクセプトされ、掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに、CSFを用いたメタボロミクス解析を実施したので、データ解析を行い、論文をまとめる。
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[Journal Article] Cerebrospinal fluid metabolomics identifies a key role of isocitrate dehydrogenase in bipolar disorder: Evidence in support of mitochondrial dysfunction hypothesis.2016
Author(s)
11.Yoshimi N, Futamura T, Bergen SE, Iwayama Y, Ishima T, Sellgren C, Ekman CJ, Jakobsson J, Pålsson E, Kakumoto K, Ohgi Y, Yoshikawa T, Landén M, Hashimoto K
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Journal Title
Molecular Psychiatry
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant