2016 Fiscal Year Research-status Report
精神科臨床現場での肺塞栓症メカニズムの解明:人工静脈モデルの実測、画像・数理解析
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15K15429
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉田 尚子 京都大学, 医学研究科, 助教 (20750532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 薫 京都大学, 医学研究科, 教授 (10267164)
平方 秀男 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (70271509)
巽 和也 京都大学, 工学研究科, 准教授 (90372854)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 静脈血栓塞栓症 / 精神科身体合併症 / 医工学 / 数理モデル / バイオレオロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
シリコン樹脂の一種であるPDMS(polydimethylsiloxane)で透明なマイクロスケールの流路デバイスを作った。そこに、静脈のずり速度に合わせて内圧を調整できるように設計した自作のポンプにより、血液が流れる様子を顕微鏡と高速度カメラで撮像できる技術を確立した。更に、蛍光標識によりフィブリン網の生成の初期変化をほぼリアルタイムで経時的に記録する技術を確立した。 通常の下肢静脈のような血流状態と身体拘束時のような血流うっ滞(身体拘束時や昏迷時)で生成する初期のフィブリン網の比較である。繊維の太さや配向性の違いが明らかに見られる。こうした情報を画像解析や流量記録により定量化し、いくつかの医学系および工学系の国内・海外の学会で発表したとともに論文執筆中である。 <主な学会発表> Measurement of Venous Thrombosis Formation and Mass Transfer Effects in the Initial Stage Using Microchannel Flow”, MicroTAS 2016 Conference(October 2016、UK), ”Thrombus Structure Change under Various Shear Rate, Using a Novel Microfluidic Device”, ISTH SSC (May 2016, France)),「静脈血栓の研究に有望な新しい流路システム」日本バイオレオロジー学会(2016年東京)その他。 また、連携研究者である大阪大学基礎工学部のグループとともに、画像データから数理解析・数理モデル化に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年7月1日に実験室の入っている建物で大きな火災が発生し、実験室が使用不能状態となった。まだ復旧の見通しがついていないが、他の建物への移管手続きを終え、実験再開したところである。建物は焼失したものの試薬や機器に被害はほとんどなかった。 また、研究代表者が過労から脳血管疾患で倒れたこと、研究に参加している大学院生が流産を繰り返したことから参加者が一時安静と休養が必要となった時期があった。いずれも健康状態が安定したため再び研究への参加を再開している。
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Strategy for Future Research Activity |
開発したマイクロスケールの人工流路を内皮細胞で被覆して、より生体に近い流路を作成する。 実際のハイリスクの患者さん(寝たきり、昏迷、身体拘束中など)の血液検体や生体情報を用いて検証を行う。
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Causes of Carryover |
大きな火災があり実験室が焼失して実験が中断したこと、研究代表者と大学院生が過労で健康状態が悪化したことから試薬購入などを見合わせ、研究計画そのものに遅延が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消失した実験室は再稼働予定ではあるがまだ目途が立っていない状況である。しかし、学内の別棟にある実験室への移管手続きが完了し、中断していた実験を再開できることになった。 また、研究代表者と大学院生はともに健康状態が回復したので研究業務を再開している。本年度内に研究を完了する予定である。
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Research Products
(7 results)