2015 Fiscal Year Research-status Report
行動学的・生理学的データを用いた精神症状の定量化技術の開発
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15K15434
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岸本 泰士郎 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (60348745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三村 將 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (00190728)
江口 洋子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 研究員 (70649524)
藤田 卓仙 名古屋大学, 経済学研究科, 准教授 (80627646)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 表情解析 / うつ病 / 躁うつ病 / 音声解析 / 機械学習 / 生活活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、重症度評価の客観的指標に乏しい精神科領域において、機械学習というアプローチによって、画像(表情)、音声、日常生活活動を定量化し、うつ病や躁うつ病の重症度評価尺度と相関の高い、新しい重症度指標を開発することを目標としている。重症度指標の開発に当たっては、精神症状を機械学習で指標化するための解析方法の検討、機械学習を通じた症候学の整理などが、本研究の焦点となる。 研究方法の概略は以下のようである。うつ病、躁うつ病の患者のインタビューを行い、その場面を録画・録音する。また一般的に用いられるレーティングスケールによって患者の重症度評価を行い、機械学習のための教師データとする。記録された患者データを用いて前述のモダリティに対する機械学習を行う。 研究では患者の表情や声といった個人情報識別情報とみなされるデータを扱うため、研究に先立って暗号処理・ログ管理などのセキュリティシステムを確立し、そのうえで倫理申請を行う必要があった。当研究グループでは、2015年度中に前述の準備を整え、倫理委員会からの承認を得た。また、機械学習の教師データとなるレーティングを精密に行う必要があるが、評価者の養成・訓練の環境を整備し終え、現在は質の維持に取り組んでいる。 研究対象は外来通院中ないし入院中のうつ病、躁うつ病患者で、症例数はうつ病、躁うつ病、それぞれ10名/年程度を目標としていた。現在までにこれら気分障害患者合計12名のリクルートに成功し、のべ30回を超えるデータ収集を行うことができた。 予備的解析の結果、表情解析から、うつ状態、躁状態、あるいは症状が消失している状況において、特定の指標における有意差を同定することができている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の初年度において、患者データの保存環境や解析環境(セキュリティに留意した)を整えることができ、また倫理申請を行い研究の承認も得ることができた。患者のレーティングを正確に行うための、評価者の養成、質の維持の環境構築も行った。 目標症例数には届いていないが、順調に症例数、データ取得のべ回数も伸びてきており、次年度以降での目標到達は可能と考える。 現時点までに取集したデータの予備的検証においても、一定の成果が得られており、研究はおおむね順調紙進展しているものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
以上より、本研究は、研究計画に沿って順調に進んでいるものと考える。次年度においては、引き続き患者のリクルート、データの収集を行うとともに、新しく生活活動記録媒体を用いたデータの収集にも着手する予定であり、現在準備中である。これらのデータから、うつ病や躁うつ病の重症度を機械学習で定量し、特徴量の同定を行えるようにすることが当面の目標となる。 また、本研究と並行して、本研究グループは、日本医療研究開発機構(AMED)の「未来医療を実現する医療機器・システム研究開発事業、ICTを活用した診療支援技術研究開発プロジェクト」の委託研究先として採択され、2015年11月より活動を開始した。当研究をもとに開発した解析アルゴリズムをコンパイルした医療機器としての開発を進めていく予定である。AMEDの研究開発では、医療機器としての開発に重点が置かれておりハードウェアの開発や解析環境の構築が焦点となるのに対し、当研究では精神症状評価のための機械学習方法の確立や症候学の整理が焦点となる。二つの研究開発を相補的に進めながら、さらなる研究の推進に取り組んでいく予定である。
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Causes of Carryover |
購入予定だった音声の聞き分けのためのマイク購入費がかさむことが予想されたので、2016年度に購入することにしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
音声聞き分けのためのマイクを購入する予定です。
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[Journal Article] Frequency and correlates of DSM-5 attenuated psychosis syndrome in a sample of adolescent inpatients with nonpsychotic psychiatric disorders.2015
Author(s)
Gerstenberg M, Hauser M, Al-Jadiri A, Sheridan EM, Kishimoto T, Borenstein Y, Vernal DL, David L, Saito E, Landers SE, Carella M, Singh S, Carbon M, Jiménez-Fernández S, Birnbaum ML, Auther A, Carrión RE, Cornblatt BA, Kane JM, Walitza S, Correll CU
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Journal Title
J Clin Psychiatry
Volume: 76
Pages: 1449-1458
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Presentation] うつ病に対する修正型電気けいれん療法後の再入院予測因子:診療録調査2015
Author(s)
内田貴仁, 岸本泰士郎, 是木明宏, 中尾重嗣, 大和田藍, 小泉輝樹, 齋藤篤之, 鹿島美納子, 澤田真也, 松崎竜太, Georgious Petrides, 三村將
Organizer
第28回日本総合病院精神医学会総会
Place of Presentation
あわぎんホール(徳島県徳島市)
Year and Date
2015-11-27 – 2015-11-27
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