2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K15453
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
岡沢 秀彦 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 教授 (50360813)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 哲也 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 助教 (40397287)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 脳内水動態 / ミクロオートラジオグラフィー / アクアポリン / コンパートメント解析 / O-15ポジトロンCT (PET) / MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
従来から臨床で用いられているPET, MRIの水動態画像は、受動的拡散を基本概念とする理論により開発されてきたが、アクアポリン(AQP)機能という新しい知見に基づく理論の再構築が必要である。AQPにより血中の水分子がどの様に脳内に移動し、どの様に分布するかの詳細な報告はこれまでになく、新規画像法の基盤となるミクロレベルでの再検討が必須である。脳における水の動態を、AQPによる選択的輸送という物質的観点から解明し、AQP機能による恒常性の維持と、機能破綻による病的状態の描出法等を、組織レベルから生体画像におけるマクロレベルまで、解析法を含めて検討するため、初年度は水分子のミクロオートラジオグラフィー法(miARG)を開発し、水動態の分子レベルでの解明に取り組んだ。また、基礎的指標を画像解析に応用する取り組みとして、PET画像の画素単位での計算法を開発した。 miARGは、ラットにトリチウム水([H-3]H2O)を経静脈的に投与し、脳細胞内の[H-3]H2O濃度経時的な変化を観察して理論的な細胞移行速度を計算する方法を考案し、ラット屠殺時間を変化させて脳細胞内の[H-3]H2O分子数の変化を計測した。一方、O-15水PET画像における画素単位での計算法の開発では、入力関数を2段階で補正する方法を取り入れることにより高い精度で局所入力関数の推定が可能となり、水動態の詳細が解析可能となった。さらに、局所脳血流量を画素毎に計算するソフトの開発で、高精度水動態定量画像の臨床応用への可能性が示された。後者については現在論文投稿校中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
miARGは、ラットにトリチウム水([H-3]H2O)を経静脈的に投与し、所定の時間経過後に脳を取り出し凍結後、凍結切片をスライドグラスに乗せ、自然乾燥後に乳剤溶液に入れて暗室固定する手法で実施した。ラット屠殺時間を変化させることで、脳細胞内のH-3]H2O濃度が変化するものと予想され、経時的な変化を観察し、理論的な細胞移行速度を計算する予定である。一方、PETによるO-15水画像の画素単位での計算法は、入力関数を2段階で補正する方法により高い精度で局所入力関数および水動態を推定することができ、水動態と脳血流測定の定量性向上に役立つことが示された。
|
Strategy for Future Research Activity |
miARGの具体的な方法は確立しつつあるが、正確な水動態計測のために特殊な実験手技および解析法の確立が必要となるため、さらに実験精度を向上させる必要がある。また、最新の総説論文には、水の脳内移行の経路として、AQP以外にも一般的イオンチャネル等があげられており、本研究課題が必ずしもAQP機能のみを反映しているわけではないという仮定も加えていく必要性がある。O-15水PETの解析法は比較的精度の高い計算法が確立しつつあるので、これを今後MRIによる水動態解析法に応用していく。
|
Research Products
(5 results)