2015 Fiscal Year Research-status Report
細胞膜流動性認識型新規ボロンハイブリッドリポソームを用いた中性子捕捉療法の開発
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15K15463
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
笠岡 敏 広島国際大学, 薬学部, 准教授 (90338690)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | BNCT / リポソーム / ハイブリッド / DDS |
Outline of Annual Research Achievements |
ボロンハイブリッドリポソーム調製に必須であるボロン含有膜構成物質の調製を行った。第一にオクタデシルアミンにヘテロ架橋剤であるN-Succinimidyl 4-Maleimidobutyrateを用いてSodium mercaptoundecahydro-closo-dodecaborate(BSH)を結合したボロン界面活性剤を調製した。第二に脂質である1,2-Dimyristoyl-sn-glycero-3-phosphoethanolamine (DMPE)に同様にBSHを結合したボロン脂質を調製した。この両者と基礎脂質として1,2-dimyristoyl-sn-glycero-3-phosphocholineを用いて、それぞれを溶解後に超音波処理によって、ボロンハイブリッドリポソームを調製した。ボロンハイブリッドリポソームの平均粒子径は78.5~143.9 nmであり、DMPE含有量が増加すると粒子径が増大傾向にあった。また、ボロン封入率はオクタデシルアミンを用いた場合で77.5%であり、その他、いずれの脂質構成においても高い封入率であった。 ボロンハイブリッドリポソームの24 h、37℃でインキュベートした血清内安定性は、ほぼ100%のボロン保持効率があり、高い安定性があることが示された。 また、FITCで蛍光標識したボロンハイブリッドリポソームをU251 ヒトGlioblastoma細胞とインキュベートした場合、経時的な細胞内取り込みが観察された。さらに、同細胞内におけるボロン量をICP-AESで測定したところ、BSHやPEG-リポソームなどの他のボロン製剤より高い取り込みが見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ハイブリッドリポソームの調製とそのキャラクタリゼーションは概ね予定通りである。ただし、BNCTの効果検討のために必要であり、計画当初予定していた中性子照射によるin vitroの抗腫瘍効果の検討は、京大原子炉の運転停止のために全面的に中止となった。
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Strategy for Future Research Activity |
京大原子炉において、2016年度は運転再開の見込みなので、中性子照射によるin vitroの抗腫瘍効果の検討を行っていく予定である。さらに、平行してオクタデシルアミンとDMPEの添加割合を詳細に検討し、正常細胞に対する腫瘍細胞への選択性をさらに向上したハイブリッドリポソームの調製を行っていきたい。
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Causes of Carryover |
当初予定していた、照射実験が取りやめとなり、2016年度に繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
照射実験用の細胞培養のための消耗品費に追加して用いる予定である。
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