2016 Fiscal Year Annual Research Report
Research on the novel risk of breast cancer focusing of the regulation of endo/exogenous substances in mammary glands
Project/Area Number |
15K15470
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
豊田 優 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (80650340)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 龍平 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (90376468)
中川 大 中部大学, 応用生物学部, 講師 (40397039)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | トランスポーター / 乳がん / メタボローム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦の乳がん患者を対象とした疫学調査により、ヒトABC輸送体ABCC11が乳がんリスク・予後不良と正に相関するという知見が報告されている。しかし、このことを裏付ける分子機構は明らかとなっていない。ABCC11は、その基質となる薬物の膜輸送を担う薬物トランスポーターとして機能するだけでなく、ヒトのアポクリン分泌腺の性状を決定する因子のひとつであることが近年分かってきた。研究代表者らは、乳腺がアポクリン腺様式の分泌腺であることを踏まえ、ABCC11による乳腺内の物質動態制御が、乳がんに薬剤耐性を与えるだけでなく、乳腺の増殖性を亢進させることで、乳がんリスクの増加・予後の増悪にも寄与するのではないかと考え、本研究を着想した。本研究では、ABCC11発現細胞モデルおよび動物モデル(ABCC11トランスジェニックマウス)を用いたABCC11を中心とする生理(機能)解析を行うための準備を進めた。これまでに、(1)ヒト臨床検体に発現する野生型ABCC11タンパク質を免疫ブロッティング法で検出することに成功し、論文発表した。同手法による当該タンパク質の検出はこれまで報告がなく、適切な抗体も市販されていなかったため、今後の研究の推進に重要な知見であると考えられる。(2)非ターゲットメタボロミクス手法を用いた差異解析ならびに構造情報の取得に必要な実験系を確立し、ABC輸送体の新たな基質探索に応用できることを示した。関連する成果は論文発表済みであり、ABCC11トランスジェニックマウスの乳汁採取に関する実験系も確立できたため、今後の研究の発展が期待される。また、研究分担者との協力の下、ABCC11タンパク質安定発現細胞株を樹立することに成功した。現在、汎用性が高いと思われる細胞種について、コロニー選別を行っているところである。
|