2015 Fiscal Year Research-status Report
大腸がんにおけるβ-カテニン核移送に作用する核膜孔複合体因子の探索と機能解析
Project/Area Number |
15K15493
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
源 利成 金沢大学, がん進展制御研究所, 教授 (50239323)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 大腸がん / β-カテニン / 核移送 / 核膜孔複合体 |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸発がんと進行過程を推進するWnt経路活性化は,その指令伝達因子β-カテニンが核に移入し,腸型転写因子Tcf7L2(Tcf4)と協働することにより全うされる.しかし,分子内に核移行モチーフを持たないβ-カテニンが細胞質と核を往来する仕組みは明らかではない.本研究は,分子の核移送や排出に機能する核膜孔複合体因子(nucleoporins: Nups)とβ-カテニンの発現の関連性,相互作用や機能解析を行い,β-カテニンの細胞質-核間移送に機能するNup(s)の同定を試みる.また,大腸がんにおけるこれらNup(s)の発現や役割りを検討する.そして,Wnt経路活性化の根幹をなすβ-カテニン核移行のメカニズム解明の端緒を拓くことに挑戦する.この取組みは大腸がんの分子病態の理解とともに,個体発生や分化など多様な生命現象の研究へ応用が期待される. 本年度は,正常細胞,大腸がん細胞と12例の大腸がん症例のがんおよび非がん部粘膜の組織検体について,30種類のNups発現を定量的RT-PCRにより測定,比較した.その結果,がん細胞におけるある種のNup (Nup X)の発現がβ-カテニン核集積(活性化)と逆相関を示すことを見いだした.そして,大腸がん細胞におけるNup Xの機能解析を開始した.これと並行して,正常細胞とがん細胞の核蛋白質を免疫沈降し,β-カテニンと共沈する分画の調整と分析を試みたが,下記の事情により期間内に同定できなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
がん細胞の核においてβ-カテニンと共沈する蛋白質分画の採取を試みた.しかし,核蛋白質の抗β-カテニン抗体による免疫沈降に難渋し,目的とする蛋白質分画が得られなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
がん細胞核においてβ-カテニンと共沈する蛋白質分画を効果的に得るために,使用する核蛋白質の量,抗β-カテニン抗体の種類や免疫沈降反応の条件などを系統的に再検討する.
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Research Products
(12 results)