2015 Fiscal Year Research-status Report
CRISPR/CAS9 ゲノム編集システムを使った新規大腸癌動物モデルの作製
Project/Area Number |
15K15497
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Research Institution | Department of Clinical Research, National Hospital Organization Kure Medical Center |
Principal Investigator |
檜井 孝夫 独立行政法人国立病院機構(呉医療センター臨床研究部), その他部局等, その他 (10444689)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 遺伝子改変マウス / 大腸癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝子改変に使われるCre-loxPシステムは、マウス以外の動物種に応用が困難である。近年、ゲノム編集技術が飛躍的に進歩し、2014年に報告されたCRISPR/CAS9系ではDNA2重鎖切断(ノックアウト)とターゲティングベクターによる変異挿入(ノックイン)が簡便にできるようになった。また遺伝子組み換えを導入する際、ES細胞を必要としないためラットなど他種の動物疾患モデルの作製を容易とした。本研究では大腸癌マウスモデルでの技術と経験を生かし、CRISPR-Cas9システムを使って、従来の方法では作製が困難であった2種類の新規の大腸癌マウスモデルの作製を試みる。 i) in vivoイメージが可能なCPC-APCモデルの作製: CPC-APCマウスにゲノム編集により、luciferaseやGFPなどのレポーター遺伝子を腫瘍内で発現するモデルを作製する。 ii)新規ラット大腸癌モデルの作製:CPC-APCマウスと同じ遺伝子変異をもつ遺伝子改変ラットを作製する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
進捗状況が遅れている最も大きな原因は、研究代表者が平成27年度の10月に広島大学から呉医療センターに異動となり、実験系の再構築などを要していることが挙げられる。 私共は、これまで腸上皮特異的転写因子CDX2のプロモーター領域にマウスの大腸上皮細胞に転写活性をもつ9.5kbの遺伝子配列を発見し、それを応用して2種類の大腸上皮特異的Apcノックアウトマウス(左側結腸モデルであるCPC-APC マウスおよび右側結腸モデルであるCDX2-polyG-Cre-APCマウス)を作製した。また、これら2種類のノックアウトマウスをさらに応用して、大腸癌の発生に関与するもう1種類のドライバー遺伝子に欠損や変異をもつ複合的遺伝子改変マウスを作製に成功し、高度浸潤癌や粘液癌など、通常の大腸癌と異なるphenotypeをもつ大腸癌が自然発生した。本研究では、私共のこれまでの技術と経験を生かし、これまで作製したマウスモデルをCRISPR/Cas9システムを用いて、さらに使いやすいモデルの作製に応用する。現在、Cre/loxPシステムを使ったマウスモデルの解析を並行して行っているが(基盤B)、そちらの研究で得られているマウスのPhenotypeの解析に時間を要しており、どのような遺伝子を改変したマウスを作製するのか、現在検討中であり、Cre遺伝子を発現誘導できるもマウスモデルであるCDX2P-Cre-ERT2モデルでの実験を行っている。 また、本研究ではin vivoイメージを可能とするGFRやluciferaseを遺伝子挿入することで、リアルタイムで腫瘍の変化をモニタリングできるモデルの確立をめざしている。ただし、CRISPR/Cas9システムを用いてもGFRやluciferase, Creなどの遺伝子を導入する事は、いまだにチャレンジ性が高く解析までを含めるともうしばらく時間がかかることが予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
Cre遺伝子を発現誘導できるもマウスモデルであるCDX2P-Cre-ERT2モデルを使って大腸癌の有望なdriver geneであるApc, Kras, Braf, tgfbr2, ptenなどの複合的遺伝子欠損マウスの解析を行っている。これらのモデルに発生する腫瘍の特徴から、新規にCRISPR/Cas9システムを用いて作製するマウスの遺伝子型やデザインを早急に行う。 GFPやCreのマウスのゲノムへの組み込みについては、既にプロトコールが報告されているので、それを用いてGFP, luciferase, Cre reconbinaseのcDNAを含み、遺伝子導入部位にhomology armをもつ環状のベクターを遺伝子組み換え実験によって作製する。私共はすでに9.5kbのCDX2 promoterをトランスジーン用のベクターに数回の組換えを行い挿入する技術を持っているので、それを応用すれば短期間で作製が可能と思われる。
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Causes of Carryover |
試薬の発注が年度内にできず、翌年に持ち越しとなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度早々、試薬の購入を行った。
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