2015 Fiscal Year Research-status Report
ソフトコイルと共鳴共振を用いた経皮的エネルギー伝送システムの開発
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15K15504
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
斎藤 逸郎 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任研究員 (80334225)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | TETS / 人工心臓 / 電力伝送 / コイル |
Outline of Annual Research Achievements |
本期間において、経皮エネルギー伝送用コイルを中心として研究を行った。フレキシブル基板を用いて直径100mm程度のソフトコイルを複数パターン作製することでコイル形状を検討した。初期のテストモデルでは従来の直径とインダクタンスと同等となるように設計し、インダクタンスが83.2 uH、ESRが従来コイルの10倍以上の11.3 Ωとなった。銅箔の厚さが35 umと薄いためにESRが高くなりやすいという問題をどう解決するかが課題となり、以下の方法を試した。(1)基板を両面基板とする:インダクタンス20.03 uH、ESR1.639 Ωのソフトコイルを2枚重ねて模擬両面基板にしたところ、それぞれ80.74 uH、 3.154Ωとなり、ESRを3分の1以下に出来た。以下、両面基板のソフトコイルを作製して性能測定を行った。(2)インダクタンスを従来コイルと同等にしたソフトコイルを並列化:インダクタンス10.12uH、ESR0.782Ωのソフトコイルを3枚並列にすると、それぞれ9.83 uH、0.318 Ωとなった。このコイルを用いて伝送実験を行い、並列化しない場合の出力電力は17.1 W、3枚並列化した場合では27.8 Wとなった。(3)インダクタンス、ESRともに小さいコイルを直列化することにより両者を調整:インダクタンス0.89 uH、ESR0.081 Ωのコイルを4枚直列化すると、それぞれ10.89 uH、0.395 Ωとなり、作製したコイルの中で同等のインダクタンスを持つコイルのESRが0.847Ωだったのに対し、半分以下のESRにすることができた。結論として、並列化・直列化によりソフトコイルのESRは軽減することが出来、27.8 Wという大きな出力を得ることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今期、ソフトコイルと簡易的な伝送・共振回路を作製し、in vitroでの電力伝送実験及びファントムを用いた電力伝送実験を行う予定だったが、ファントムを用いた実験は未実施である。コイルのQが低く抵抗値が高いために発熱がひどく、コイルの性能を向上させる為の形状検討と通常の電力伝送実験までとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
伝送効率が70%以上となる25Wを送電するコイル及び伝送システムを作製し、ファントムを用いたin vitro及び急性実験によるin vivoによって性能を検討する。
現段階ではコイルの熱損が大きく、伝送効率が低い状態にある。伝送効率を上げる方法として今後は本コイルに特化した駆動回路、共振周波数追従システムを含む共振回路を作製し、改めて伝送実験を行うことでコイル性能及び回路システムを評価し、改善する。 伝送実験後はコイルをコイルパックに入れ、人体内を模擬した4%食塩水のファントムを用いて伝送実験を行い、効率と発熱を観察する。 TETS改善後、動物急性実験でのin vivoによる伝送実験を行い、出力電力、効率、発熱を測定する。
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Research Products
(4 results)