2015 Fiscal Year Research-status Report
放射光位相差X線CT法による血管退縮関連疾患群の異常血管の構造解析に関する研究
Project/Area Number |
15K15505
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
高橋 昌 新潟大学, 医歯(薬)学総合研究科, 特任教授 (30303150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 修一 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (00422600)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 放射光 / 動脈管 / 分子構造解析 / 血管退縮性疾患 / 放射光位相差X線CT法 / SPring8 / 先天性心疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、様々な血管の退縮を契機として引き起こされる疾患群の検体を、超大型加速器(シンクロトロン)で得られる放射光を利用した分子構造解析を行い、血管退縮のメカニズムを明らかにすることにある。 本年度は、正常心(胎児心)をコントロールとして、一方で対照群として左心低形成症候群や大動脈弓離断症・縮窄症などの、動脈管組織退縮と密接に関連する疾患群の標本を、大型放射光施設(SPring8)のビームラインを利用して、放射光位相差X線CT法による画像解析のを実施した。開始当初は、分子構造解析の実験データの安定・精度を担保するための具体的な手順の確立から開始し、画像の精度が得られて時点で、画像解析ツール・ソフトウエアによる構造解析を開始した。これらに必要な大量のデータを保存・処理・解析するためのハードウエア・ソフトウエアの導入と調整を実施した。さらに、得られた画像解析結果を、従来の染色切片標本と照らし合わせるため、切片標本を作製し、画像解析データとの照合を実施した。この結果、本法により従来は切片標本によってのみ局在の道程が可能であった動脈管組織の局在を、非破壊検査によって確認できることが明らかとなった。そこで、さらに画像解析を3Dデータとして処理する試みを開始。標本の任意断面における分子構造が放射光位相差X線CT法により得られることが示され、従来の切片による一断面2Dによる解析法に対する本法のアドバンテージが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初対照群としてウサギの心臓・血管により、人の正常心標本のコントロールとして比較検討を予定していたが、胎児の正常心臓をコントロールとして解析することが可能となり、動物種の間による相違の検討を行う必要がなくなり、早い時期より疾患標本を対象とした解析が可能となったことから、当初予定よりも進展がみられている。また、解析できる標本のサイズが、実験系の改良により達成され、より多くの標本が解析対象とできていることが、当初計画よりも順調な実施に寄与している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は、さらに血管退縮性疾患群の検体標本を解析する事から、標本のデータベース作成が急がれる。このデータベースをもとに、系統的な疾患解析のスケジュールを立て、解析結果をもとに、各疾患群の関連性や差異を明らかにして、それぞれの疾患が発症する機序を検討する貴重な材料としたい。 課題として、対象とする標本の形態によっては、放射光位相差X線CTの画像に微細な気泡によるノイズが生じる事があり、対象とする標本の増加にともない、対応が必要となることが想定される。現在、解決策を模索しているが、安定化にはさらに検討が必要と思われる。
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Causes of Carryover |
対象として予定した家兎が、胎児心臓の提供を受けられる状態となり、計画の発展的な修正が可能となり、家兎及び関連予算の節約につながった一方で、画像処理用高機能デスクトップPCでの画像解析に必要な膨大なデータ処理のため、データストレージが必要となった。このために、年度内予算で予定していた高機能モバイルPCの購入予算が不足する事となり、発注を平成28年度に先送りしたことにより、最終的に当該年度所要学が当初計画より減少した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度予算の残額は、平成28年度に繰り越したモバイルPC購入の執行を予定している。その他については、実験の進行に合わせて、計画に従って執行する予定である。
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