2015 Fiscal Year Research-status Report
リンパ動態の可視化-乳麋胸腹水、慢性リンパ浮腫における新たな診断と治療法の確立
Project/Area Number |
15K15510
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
松原 忍 横浜市立大学, 附属病院, 講師 (10404576)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 二郎 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (70244449)
三上 太郎 横浜市立大学, 医学部, 講師 (90315804)
足立 英子 横浜市立大学, 市民総合医療センター, 指導診療医 (30747580)
矢吹 雄一郎 横浜市立大学, 医学研究科, 客員研究員 (30610357)
小林 眞司 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 部長 (90464536)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ブタ後肢リンパ管 / 乳麋槽 / リンパ管描出 / ガイドワイヤー通過困難 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度はブタ3頭を用いて実験を行った。 1.超音波診断装置によるブタ後肢リンパ管の走行確認:全身麻酔下仰臥位にて、ICG蛍光リンパ管造影法と色素法を用いてリンパ管の走行を確認し、末梢より細径ガイドワイヤーを挿入した。ブタでは皮下脂肪が少なく、USGで追随する際にカプラを使用したが、体毛のため表皮への密着が困難だった。硬度の高いエコー用ゼリーの大量使用で、比較的ガイドワイヤーの視認性が改善したが、X線透視装置を用いる方が容易にガイドワイヤーを確認できた。また、ガイドワイヤー通過後のリンパ管の内膜の評価として行ったH-E染色やM-T染色では明らかな損傷は認めなかった。内皮欠損を確認するために免疫染色が必要だが、抗体の生物学的特性の問題が発生し、試薬を検討中である。 2.ブタリンパ管、乳び槽、胸管の造影検査:同じブタを用い、全身麻酔下仰臥位で直視下に腸骨リンパ節より近位のリンパ管へガイドワイヤーを挿入し、細径カテーテルを留置した。非イオン性水溶性造影剤を用いた描出で、乳糜槽が網目状に複雑な構造であることが判明した。動脈造影検査用ロードマップ作成を応用し、ガイドワイヤーの通過を試みたが、細径カテーテルが追従できたのは1頭のみにとどまり、胸管の分枝の描出は困難だった。胸管の直接穿刺による分枝の描出を試みる必要があると思われた。 その他に予定していた項目は以下の状況である 3.乳糜槽および胸管の内圧測定:圧センサー付きカテーテルを用いた乳糜槽および胸管内リンパ圧測定を予定していたが、本年度はカテーテルの入手が困難だった。使用物品を再検討すべきと思われた。 4.胸管および乳び槽におけるリンパ逆流と弁機能の評価:ブタの静脈角から逆行性にリンパ管内へ直接、細径ガイドワイヤーを挿入する予定だったが、仰臥位では困難であり、体位変換などの準備を要することが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細径ワイヤーは順調に試作を繰り返し、使用に耐えうる物ができた。市販の血管造影用細径カテーテルなどとの組み合わせでリンパ管の描出が可能であり、当初の計画として可能なこととさらなる工夫を要することが判別でき、次年度以降の計画の補正に有用だった。 しかし動物実験設備が限られており、日程および費用の両面から頻回な実験が困難だった。ヒトに近いと言われるブタであっても、解剖学的な構造などの違いがあり、想定した準備物品では全行程を終えることが困難だった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初は平成28年度の研究としてブタによる動物モデルを作成し、以下の項目についての検討を予定していた。 1)細径ガイドワイヤーをブジーとして使用したリンパ管拡張術のための基礎実験 2)乳び胸治療のための基礎実験 3)バルーン拡張術のための基礎実験 平成27年度に遂行できなかった実験内容を基礎としてものがあるいるため、カテーテルやガイドワイヤー以外にもシースなどの準備物品を多種類として、同時並行で実験を行う。また、造影剤についても古典的なリピオドールを併用し、積極的に細かな分枝を描出してガイドワイヤーの誘導を容易にできるよう検討する。乳麋槽や胸管など体幹部のリンパ系の実験には胸壁などへの色素注入を追加するなどの工夫を行う。
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Causes of Carryover |
国際学会に研究成果を発表したが、事務処理の問題で支払い請求ができず、次年度使用金が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度も積極的に成果発表を計画しており、繰越金は旅費に充てる予定である。 今年度に実行できなかった乳糜槽および胸管の内圧測定と胸管および乳び槽におけるリンパ逆流と弁機能の評価を行いつつ、類似手技で検討可能な1)細径ガイドワイヤーをブジーとして使用したリンパ管拡張術のための基礎実験、2)バルーン拡張術のための基礎実験を一連として行う。乳び胸治療のための基礎実験は胸腔鏡下手術が中心となり、別系統の実験として予定する。
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Research Products
(2 results)