2016 Fiscal Year Research-status Report
Focal therapeutic sclerotizing polymer for micro lung cancer
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15K15517
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
島田 順一 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60315942)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 肺癌 / 樹脂 / シリコーン / 硬化治療法 / エチルシアノアクリレート / 低粘度 / 重合 / エタノール放出 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体内で緩徐に硬化し血管内に拡散されない樹脂の開発を東レメディカルと検討した。【検討ポイント】樹脂組成物は昨年度の目標値よりも、より実践的な以下の要件を満たすよう設計を行った。1)微小スリガラス状肺癌の局所へは、15cm長、22Gの穿刺針を使って投与することから、樹脂粘度が低い(20mPa・s程度)こと。2)生体内の水を介在として重合し、数分以内にゲル化すること。3)ゲル化の後、硬化した場合は、生分解しないこと。4)重合の際は、エタノール放出すること。5)反応は発熱反応であること。6)生体内で炎症を刺激するような、アミノ基や、エポキシ基は使用しないこと。7)MR及びX線CTで描出できること。8)硬化した際、表面には硬化膜を形成すること。【検討経過】昨年度までの検討結果をもとに、使用するシアノアクリレートの安定剤や粘度を揃えるため、主にエチルシアノアクリレートを用い、同じ安定化剤を用いることが可能なブチルシアノアクリレートの2つに絞って検討した。1)シリコーン成分と、シアノアクリレート成分の2つの比率を1:3にした場合、反応速度制御のために混合物の含有率を0.25wt%ずつ変更し、硬化した樹脂サンプルのMRでの視認性を確認する。2)WRでの視認性を確認後、含有量は一定にしたまま、シリコーン成分とシアノアクリレート成分比率を変更し、硬化した樹脂サンプルのMR及びX線CTでの視認性を確認する。3)MR及びX線CT視認性の良い組成比で、初期粘度、硬化速度、硬化の状態を評価する。 【提供サンプルおよび評価結果】 基礎検討のため、約2百種類の樹脂系を検討した。大気下であるため、組織注入した場合の硬化に比べ低速度硬化にはなっているが、シリコーン成分(シリカ)が、割れを起こす条件では、がん病変を包み込んで硬化させた際に漏れ出して転移する危険があると考え、表面に皮膜を形成する樹脂系を選択した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
MRやX線CTでの視認性を確認するために、チューブ内で硬化させた樹脂を用いて、MR及びX線CTでの視認性を確認した。スキャナ SIEMENS 3T Verio dot コイル Flex Small Coil 画像処理ソフトウェア: 3D Slicerで評価した。各チューブ中での固化形状が異なるため、MRでの視認性については、手前側から順に縦に断面を切って観察した。スピッツ管の形状が変化することから、どのサンプルについても樹脂の存在をMRで確認することができると考えられた。以上のように、樹脂の物性については、検討できた。しかし、MR可視化樹脂の開発の検討会議のあとに、外注の樹脂合成担当の企業の担当者が病気により入院、手術と治療をうけることを余儀なくされ、MRでの物性テストに供する樹脂の合成が遅れた。また、研究用MRIも自由に利用できるわけではなく、MRIでの画像化評価も2016年10月末に遅れこんだ。しかしながら、以上の結果から、実際に動物を使った注入実験に耐える樹脂系が得られたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に調製した樹脂については、15cm長、22G針を使って、注入時における問題点がないか検討した結果、樹脂粘度20mPa・s程度では、注入圧は高くならず良好に注入できることを確認できており、ラットの生体肺を対象とした動物肺内での樹脂の硬化について、検討できる研究基盤は整っており、平成29年度への期間延長を得て、平成29年度には、動物肺に注入し、その硬化状況を詳細に検討したい。また、4月時点では、今後、臨床応用をめざした注入器材を含めた展開を挑戦的研究に提案しており、基礎実験の世界から実際の微小肺癌治療をめざした実用性のある成果へと道を付けたい。また、いままでの成果を学会発表し、論文にまとめたい。
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Causes of Carryover |
平成28年度、外注の樹脂合成担当の企業の担当者が病気により、手術と治療をうけたことで、樹脂の開発、合成時点での評価が遅れたため、MRI検査での可視化について満足のいく樹脂合成物を得ることができず、MRIでの評価実験が平成28年10月末に遅れた。平成28年度内の平成29年1月から動物実験にかかることがかなわず、平成29年度に研究期間延長申請、受理された。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
MRI画像装置下での可視化の樹脂注入の装置を開発し、さらに、動物実験で肺内に注入し、肺内での硬化療法を行って、その硬化状況を3次元マイクロCTで評価する。ここまでのデータで国内外の学会で発表し、論文作成にかかる。この経費として、使用したい。
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