2015 Fiscal Year Research-status Report
もやもや病患者由来iPS細胞を用いた血管平滑筋細胞の分化誘導と機能解析
Project/Area Number |
15K15520
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
寳金 清博 北海道大学, 大学病院, 教授 (90229146)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 若樹 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40421961)
数又 研 北海道大学, 大学病院, 講師 (60634144)
鐙谷 武雄 北海道大学, 大学病院, 助教 (80270726)
七戸 秀夫 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (80374479)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | もやもや病 / iPS細胞 / 血管平滑筋細胞 / 神経堤細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
もやもや病は頭蓋内内頚動脈の進行性狭窄を呈する疾患であり、発症のメカニズムは明らかとなっていない。本研究では、もやもや病患者由来iPS細胞を用いて、もやもや病特異的な血管平滑筋細胞を分化誘導する。また、発生学的には、頭頚部の血管平滑筋は神経堤細胞を経て発生してくるため、iPS細胞をまず神経堤細胞に分化誘導した後に平滑筋細胞へと分化誘導することで、発生学的にも特異的な細胞を生み出す。 本研究では健常人由来iPS細胞3株、もやもや病患者由来iPS細胞3株を用いて実験を開始した。Christine C.らの報告に基づき、もやもや病患者由来iPS細胞および健常人由来iPS細胞に対してLDN193189、bFGF、SB431542で8日間刺激を行い、神経堤細胞への分化誘導を行った。分化誘導8日目で、神経堤細胞のマーカーであるp75の陽性率をフローサイトメトリーで確認したところ95%以上で陽性あった。また、同じく神経堤細胞のマーカーであるnestinの免疫染色を行ったところ、ほぼ全ての細胞で陽性であった。これらの結果から、高い効率で神経堤細胞へと分化が進んでいることが分かった。それらの細胞を細胞剥離液で剥離して継代を行い、TGF-β1, PDGF-BBによる刺激を12日間行い、その後7日間10%牛血清を含んだDMEM培地で培養し平滑筋細胞への分化を行った。その後免疫染色で平滑筋のマーカーであるα-SMA, カルポニン、SM-22の発現を解析したところ、90%以上の細胞でいずれのマーカーも陽性であった。マイクロアレイによる解析を行うため、これらの平滑筋細胞からRNAを採取したが、細胞株によっては継代の際に細胞接着が不良のものがあり、全てのクローンでRNA採取は完了していない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
iPS細胞から神経堤細胞への分化誘導は高い効率で行うことが出来、最終的に得られる細胞も平滑筋マーカーを高率に発現していることが確認できた。しかし、血管平滑筋細胞へ分化誘導を行うために継代を行うと、接着不良となる細胞株があることと、PDGF-BBおよびTGF-β1で刺激をしている期間は細胞増殖が乏しいことから、安定的に多くの細胞数を得ることが出来ていない。よって増殖能力や、遊走能などの細胞機能や、マイクロアレイによる解析が行えていない。細胞の接着が不良な点については、細胞を剥がす際の剥離液を酵素を含まないEDTA溶液のみに変更し、培養皿のコーティングに使用するゼラチンの濃度を高くするなどの対応によって改善傾向がみられている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終的に得られる細胞数を増やすために、細胞の培養規模を拡大する、培地中の血清濃度を高くするなどの工夫を行う予定である。また、十分な平滑筋細胞が得られた後には、健常群ともやもや病とで増殖能、遊走能、血管新生能などの細胞機能について比較検討を行う。また、マイクロアレイを行い、階層的クラスタリングやパスウェイ解析、Gene Ontology解析などを行い、もやもや病と健常群との遺伝子発現の差異や、もやもや病特異的に発現の異なる遺伝子の絞り込みを行う予定である。その後、RNF213のノックダウンによって、絞りこんだ遺伝子が変異型のRNF213の発現をどのように関連しているかを解析することを目標としている。期間に余裕があれば、平滑筋細胞のparacrine effectを調べるため、平滑筋細胞を培養した培養液をヒト臍帯静脈細胞(HUVEC)へ添加し、HUVECの増殖能力がどのように変化するかを検討する。
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