2016 Fiscal Year Research-status Report
ASIC1aノックアウトマウスを用いた育児障害の研究
Project/Area Number |
15K15554
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
若林 健二郎 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (20418867)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 郁雄 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (70182970)
佐久間 英輔 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (90295585)
村上 里奈 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (10535818)
青山 公紀 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (10597818)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 育児障害 / ドーパミン / ミクログリア / 脳内炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
ASIC1aノックアウトマウスのwild-type (+/+), mutant homozygote (-/-) , heterozygote (+/-)の雌を用いて、仔を巣に集める;巣作り動作;仔の上にまたがって保温、授乳するといった項目について行動生理学的検査を行った。仔マウスの体重測定として出産当日に出生児数を確認し、当日から出生後14日目まで毎日10:00 に一匹ずつ分析用電子天秤を用いて体重を記録した。脳内のメカニズムの調査の為、In Situ Hybridizationとしては、RNA プローブをDATのnucleotidesに対して作成し、35S UTPでラベルした。Western Blotとしては、マウス脳を麻酔下に無痛状態で摘出し、嗅球と小脳を除去したマウスの大脳に対して機械式のホモジナイザーを用いて温度上昇に注意してホモジナイズする、遠心分離処理を加えて可溶性の抽出タンパクを得る。これに対してSDS/PAGE法を用い電気泳動してから、セミドライブロットしてトランスファーし検査した。これらの結果、我々は今回の育児障害は所謂モチベーション回路として機能しているドーパミンニューロン自体の信号伝達機能が低下している事に起因しており、同時に発生するドーパミントランスポーターの機能低下を生じている事を見出した。以上をまとめて、第第31回日本整形外科学会基礎学術集会にて発表した。また、母性行動異常のASIC1aノックアウトマウスの脳内のミクログリアの増加:つまり、脳内の炎症反応の上昇を発見し、ミクログリア由来細胞株BV-2細胞を用いて、SGKの活性が炎症刺激に対するミクログリアの活性を抑制する可能性についてまとめて、論文として発表した(Biochem Biophys Res Commun.478(1):53-9)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、育児障害から、一層深刻な、ノックアウトマウスの出産障害または、出産直後の食殺を生じており、その対応に苦慮している。いわゆる、エンバイロメントエンリッチメントとして、Shepherd Shack, egg-box carton 15 cm × 9 cm × 6 cm with one small 4 cm hole in the side and its weigh is approximately 20 g (Shepherd Specialty Papers, Kalamazoo, Michigan, USA) 1個と pressed cotton squares (5 × 5 cm, Nestlets; Ancare, Bellmore, NY, USA)2個を使用しているケージpolymethylpentene plastic cage (CL-0104-2 TPX; 225 x 338 x 140 mm; CLEA Japan Inc., Tokyo, Japan) 内に追加して、餌autoclaved pellets food (MF; Oriental Yeast, Tokyo, Japan)と水、飼育環境なども検討して(Temperature was maintained at 21-24℃; The colony room was kept on a 12-h light-dark cycle with lights on at 08:00 h and off at 20:00 h.)、かなり改善されてきている、この食殺傾向の原因は、現在の所、不明な面が多いが、視床下部に発現している育児関係遺伝子の調査を現在行っている。この件についても、結果が出次第発表する予定でいる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究結果から、酸感受性イオンチャンネル1a;Acid-sensing ion channels (ASIC1a)は存在するシナプスにおいて信号伝達機能を担っている。ASIC1aのノックアウトマウスにはDATの発現の低下をはじめとするmedial preoptic area (MPOA)からventral tegmental area(VTA) さらにNucleus Accumbens (NA)の領域に投射しているモチベーション回路のドーパミンニューロンの信号伝達機能の低下があり、これが、育児障害と放置虐待のおもな原因になっている事が証明された。また、ASIC1aノックアウトマウスは母性行動異常のモデルマウスとして有用であることが示唆された。さらに我々は、母性行動異常のASIC1aノックアウトマウスの脳内のミクログリアの増加:つまり、脳内の炎症反応の上昇を発見している。現在、ミクロ炎症反応の指標として、グリアの脳内における存在の密度と、活性型のミクログリアの密度の変化に着目して、主に海馬の領域さらにNucleus Accumbens (NA)にて、指標物質としてIBA1を用いた免疫染色で確認する事としている。中枢神経系のグリア細胞の一種であるミクログリアは骨髄由来の細胞で、主に脳内の免疫機能を担っているとされる。ミクログリアは細菌感染時や脳梗塞後の炎症に非常に重要な役割を持つばかりでなく、最近ではうつ病等の精神疾患においてもその関与が指摘されてきている。そのため、ミクログリアの活性調節機構を明らかにすることは種々の精神神経疾患の発症メカニズムの解明やその治療にとって有益となると考えている。
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] ASIC1aノックアウトマウスの育児障害2016
Author(s)
若林健二郎,佐久間英輔,植木孝俊,井上浩一,大塚隆信,和田郁雄,水谷潤,植木美乃, 村上里奈,青山公紀,井上浩一,河命守, 白井康裕,森本浩之,小出益徳,浅井友詞
Organizer
第31回日本整形外科学会基礎学術集会
Place of Presentation
福岡国際会議場(福岡県・福岡市)
Year and Date
2016-10-14 – 2016-10-14